大量データを扱うJavaバッチ処理では、メモリリークやOutOfMemoryErrorが発生しやすく、運用トラブルの原因になりがちです。
特に「開発環境では問題ないのに、本番で落ちる」というケースは非常に多く見られます。
本記事では、Javaの大規模バッチ処理でメモリリークを防ぐための実践的な対策を、原因別・コード例付きでわかりやすく解説します。
✅ この記事でわかること
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バッチ処理でメモリリークが起きやすい理由
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Javaでよくあるメモリリークのパターン
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実装時に必ず意識すべき対策
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大規模データを安全に処理する設計例
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本番運用で役立つ監視・チューニングのポイント
1. なぜJavaのバッチ処理はメモリリークを起こしやすいのか?
バッチ処理は以下の特徴を持つため、Webアプリよりもメモリ問題が顕在化しやすくなります。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 長時間実行 | 数時間〜数十時間動作する |
| 大量データ | 数万〜数百万件を処理 |
| ループ処理 | オブジェクトが溜まりやすい |
| GCが効きにくい | 参照が残りやすい |
特に 「参照を切り忘れる」 ことが最大の原因です。
2. よくあるメモリリークの原因と対策
❌ ① List / Map にデータを溜め続ける
✅ 問題点
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処理が進むほどヒープを圧迫
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GCされずOutOfMemoryErrorに
✅ 対策:一定件数で処理&クリア
❌ ② static変数にオブジェクトを保持
✅ 問題点
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JVM終了までGCされない
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バッチでは致命的
✅ 対策
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staticにオブジェクトを持たせない
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必要なら WeakReference を検討
❌ ③ ストリーム・ResultSetを閉じ忘れる
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ResultSet rs = stmt.executeQuery(sql); // closeしないまま終了 |
✅ 対策:try-with-resources を使う
❌ ④ ログ出力しすぎ問題
大量ログは…
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メモリ
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ディスク
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I/O
すべてを圧迫します。
✅ 対策
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DEBUGログは本番で無効化
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件数ベースのログにする
3. 大規模バッチで必須の設計テクニック
✅ ① チャンク処理(分割処理)
👉 Spring Batch でも同じ思想
✅ ② 不要オブジェクトを明示的に破棄
※GCを「促す」だけだが、長時間バッチでは効果あり
✅ ③ JVMメモリ設定を適切に
おすすめ構成(例):
| 設定 | 内容 |
|---|---|
| -Xms | 初期ヒープ |
| -Xmx | 最大ヒープ |
| G1GC | 大規模バッチ向け |
4. メモリリーク調査に役立つツール
| ツール | 用途 |
|---|---|
| VisualVM | メモリ使用量確認 |
| jmap | ヒープダンプ取得 |
| jstat | GC状況確認 |
| Eclipse MAT | メモリ解析 |
👉 本番で落ちた場合は Heap Dump → MAT解析 が鉄板です。
5. 本番で安全に動かすためのチェックリスト
✅ 大量データをListに溜めていない
✅ ResultSet / Stream を必ず close
✅ static変数にデータを保持していない
✅ ログ出力量を制限している
✅ JVMヒープサイズを事前に調整済み
✅ 本番相当データで負荷テスト済み
まとめ
Javaの大規模バッチでメモリリークを防ぐには、
✔ 溜めない
✔ 閉じる
✔ 区切る
✔ 監視する
この4点を守るだけで、ほとんどのトラブルは防げます。
特に業務バッチでは
「落ちないこと」=「正義」
なので、設計段階からメモリを意識することが重要です。

