Oracle Database を利用したシステム運用やバッチ処理において、
突然発生する ORA-04068 エラーに戸惑った経験はないでしょうか。
このエラーは一見すると致命的に見えますが、
原因を正しく理解すれば、想定通りの挙動であるケースがほとんどです。
本記事では、
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ORA-04068 の意味
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発生する仕組み
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よくある発生シナリオ
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実務での対処方法
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再発防止策
を、現場でそのまま使えるレベルで解説します。
ORA-04068 エラーとは?
エラーメッセージ
これは
「パッケージの既存状態(セッション内の保持データ)が破棄された」
ことを示すエラーです。
重要なポイント
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パッケージ変数・初期化状態がリセットされた
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Oracle の内部的な安全機構によるもの
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データ破損やDB障害ではない
ORA-04068 が発生する仕組み
Oracle の PL/SQL パッケージは、
セッション単位で以下を保持します。
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パッケージ変数の値
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初期化処理(
BEGINブロック)の実行結果
しかし、特定の条件が発生すると Oracle は安全のために
既存のパッケージ状態を破棄します。
その結果、次回アクセス時に ORA-04068 が発生します。
主な原因①:パッケージの再コンパイル
最も多い原因です
以下の操作を行うと、実行中セッションのパッケージ状態が無効化されます。
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CREATE OR REPLACE PACKAGE -
ALTER PACKAGE COMPILE -
依存オブジェクト(テーブル・型など)の変更
発生例
👉 別セッションで実行中の処理は即影響を受ける
主な原因②:依存オブジェクトの変更
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テーブル定義変更(
ALTER TABLE) -
型(TYPE)の再定義
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関数・プロシージャの再作成
Oracle は依存関係を検知し、
関連パッケージを自動的に INVALID 化します。
主な原因③:共有サーバ(Shared Server)環境
以下の環境では、ORA-04068 が出やすい傾向があります。
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共有サーバ(MTS)
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接続プール使用アプリケーション
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長時間接続セッション
👉 セッションの再利用・切替時に
パッケージ状態が保持できないケースがあります。
実務での対処方法①:再実行する
最も基本かつ有効
ORA-04068 は、
「一度だけ発生するエラー」であることがほとんどです。
理由
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パッケージは再初期化済み
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次回からは新しい状態で実行される
実務での対処方法②:例外処理で吸収する
PL/SQL 内で 例外処理を実装するのが安全です。
👉 業務バッチでは必須レベルの対策
実務での対処方法③:パッケージ変数の使用を見直す
非推奨な設計例
推奨設計
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状態管理は テーブルに保存
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セッション依存を排除
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再実行耐性を持たせる
再発防止の設計ポイント
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| パッケージ変数を最小限に | 状態保持は極力避ける |
| デプロイ時間の調整 | 稼働時間帯の再コンパイルを避ける |
| 再実行前提設計 | ORA-04068は起きるものと考える |
| バッチのリトライ制御 | 異常終了を防ぐ |
よくある誤解
❌ DBが壊れた?
→ いいえ(正常なOracleの動作)
❌ 即修正が必要な致命的障害?
→ 多くは設計・運用の問題
❌ 無視していい?
→ 例外処理は必須(特にバッチ)
まとめ
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ORA-04068 は Oracleの安全機構
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主因は パッケージ再コンパイル・依存関係変更
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再実行すれば直るケースが大半
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例外処理と設計見直しが重要
👉 「出ても慌てない」ことが一番の対処法です。

