Oracle Database を利用していると、文字コード関連の処理で突然次のようなエラーが発生することがあります。
本記事では、ORA-29275 エラーが発生する原因と、具体的な対処法・回避策をわかりやすく解説します。
特に、UTL_FILE や UTL_HTTP、文字列操作を行う PL/SQL 処理で遭遇しやすいエラーです。
ORA-29275 とは?
ORA-29275 は、Oracle Database が
マルチバイト文字(日本語など)を正しく処理できなかった場合に発生するエラーです。
主に以下のようなケースで発生します。
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文字列の途中でバイト単位処理が行われた
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文字コードが不一致の状態で入出力を行った
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マルチバイト文字が分断された状態で処理された
主な発生原因
① バイト単位で文字列を切り出している
Oracle では、日本語はマルチバイト文字として扱われます。
そのため、SUBSTRB や LENGTHB など バイト単位の関数を使うと、
文字の途中で切れてしまうことがあります。
❌ 問題が起きやすい例
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1 2 |
SUBSTRB(col, 1, 5)<code class="whitespace-pre! language-sql"> |
→ 日本語が途中で分断され、ORA-29275 が発生する可能性あり。
② 文字コードが混在している
以下のような 文字コード不一致も原因になります。
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データベース:AL32UTF8
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入力ファイル:Shift_JIS
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外部システム:UTF-8 以外
特に次の処理で注意が必要です。
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UTL_FILEによるファイル読み書き -
外部CSVやテキストファイルの取り込み
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Web API 連携(
UTL_HTTP)
③ UTL_FILE で不正な文字列を読み込んでいる
UTL_FILE.GET_LINE で 不正な文字コードを含む行を読み込むと、
Oracle が文字列を解釈できずエラーになります。
ORA-29275 の対処法
対処法① 文字単位の関数を使用する
バイト単位ではなく文字単位で処理するのが基本です。
✅ 推奨例
日本語を扱う場合は、SUBSTRB / LENGTHB は極力使わないようにしましょう。
対処法② データベース文字コードを確認する
以下のSQLで、DBの文字コードを確認できます。
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SELECT value FROM nls_database_parameters WHERE parameter = 'NLS_CHARACTERSET';<code class="whitespace-pre! language-sql"> |
一般的には以下が安全です。
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AL32UTF8(推奨)
対処法③ 入力ファイルの文字コードを統一する
外部ファイルを扱う場合は、
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UTF-8 に変換してから取り込む
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改行コード・BOM の有無を確認
Windows環境では Shift_JIS のまま渡されるケースが多いため要注意です。
対処法④ UTL_FILE 利用時の注意点
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1行の最大長を超えていないか確認
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制御文字(不可視文字)が含まれていないか確認
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文字化けデータを事前にチェック
よくある発生シーンまとめ
| 発生箇所 | 内容 |
|---|---|
| PL/SQL | SUBSTRB / LENGTHB の誤用 |
| UTL_FILE | SJIS ファイルの読み込み |
| 外部連携 | API レスポンスの文字コード不一致 |
| CSV取込 | 日本語列が途中で切れる |
まとめ
ORA-29275 は **「Oracleが文字を途中で壊された状態で受け取った」**ときに発生するエラーです。
ポイントは次の3点です。
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バイト単位処理を避け、文字単位で扱う
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文字コード(UTF-8)を統一する
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外部ファイル・外部連携の入力データを疑う
日本語環境では特に発生しやすいエラーのため、
文字コードと関数の使い分けを意識することで、未然に防ぐことができます。

