「駑馬十駕」を信念に IT系情報を中心に調べた事をコツコツ綴っています。

COBOLからJavaへの移行で必ず話題になるのが COPY句の扱い です。
特に、

「COPY句=固定長ファイル定義では?」

と認識している方も少なくありません。

この記事ではまず その誤解を整理した上で
COBOLのCOPY句を Javaでどう置き換えるべきか
設計パターン別にまとめます。


【注意事項】COPY句は「固定長ファイル定義専用」ではない

よくある認識

COPY句は固定長ファイルを定義するもの

正確な理解

COPY句は 外部ファイルのコードを展開する仕組み

つまり COPY句そのものは、

  • 固定長ファイル定義

  • ワーク領域定義(WS)

  • 定数・コード値

  • 共通処理ロジック

すべてに使える構文 です。


なぜ「固定長ファイル」という印象が強いのか?

理由は実務上とてもシンプルです。

  • 固定長レコードは 1バイトでもズレると致命的

  • 読み/書き/検証で 完全一致が必須

  • 人が毎回書くのは危険

そのため、

COPY IN-REC-DEF.

という COPYBOOK文化 が広く定着しました。

👉 結果として
「COPY句=固定長ファイル」
というイメージが強く残っています。


Java移行時に重要な考え方

COPY句の形をJavaで再現しようとする
COPY句が「何を定義していたか」を見極める

これが、設計の分かれ目になります。


COPY句の役割別に見る Java置き換え設計パターン

COPY句の役割別に見る Java置き換え設計パターン

パターン①:定数・コード値のCOPY句 → 定数クラス

COBOL(例)

Java

ポイント

  • enumより 定数クラスが移行向き

  • 状態は持たせない

  • 名前で意味を表す


パターン②:データ定義(COPYBOOK)→ DTO / POJO

COBOL

Java

ポイント

  • 1 COPYBOOK = 1 DTO が基本

  • 固定長という制約はDTOに持たせない

  • 業務データとして再定義する


パターン③:【重要】固定長ファイルCOPY句の正しい分解

❌ よくある誤り

  • 固定長前提のクラスを作る

  • 桁位置ロジックをDTOに埋め込む

⭕ 正しい分解

① 業務データ

② 固定長レコード変換専用クラス

👉
レコード構造と業務データを分離するのがJava的設計です。


パターン④:計算・処理系COPY句 → Utilityクラス

COBOL

Java

ポイント

  • 状態を持たない

  • 単体テストしやすい

  • WS直接操作は避ける


パターン⑤:状態判定・業務判断COPY句 → Service

COBOL

Java

ポイント

  • 判断ロジックを明確化

  • 将来の仕様変更に強い

  • DIと相性が良い


パターン⑥:段階移行用(注意して使う)

注意点

  • 移行初期専用

  • Javaらしさは捨てる

  • 最終形にしない


COPY句 → Java設計 早見表

COPY句の役割Javaでの置き換え
定数・コード定数クラス
業務データDTO / POJO
固定長レコードMapper / Converter
計算処理Utility
状態判定Service
移行初期1COPY=1クラス

よくあるアンチパターン(注意)

  • COPY句をすべてstaticクラスにする

  • 固定長の桁位置をDTOに埋め込む

  • 巨大な共通クラスを作る

  • COPY句の感覚をJavaに持ち込む


まとめ

  • COPY句は 固定長ファイル専用ではない

  • Java移行では COPY句の「役割」を見極める

  • 固定長ファイルは 構造と業務データを分離

  • 「再現」より「再設計」が重要

COBOLのCOPY句をどうJavaに置き換えるかは、
移行後の保守性・拡張性を決定づける設計ポイントです。

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