Oracleデータベースで最も厄介なエラーの1つが、
「ORA-00600: 内部エラーコード、引数: [xxx], …」 です。
このエラーはOracle内部の不整合やバグによって発生することが多く、
SQL文やアプリケーション側で単純に修正できるものではありません。
本記事では、調査の進め方・原因の特定・対応手順を現場エンジニア目線でわかりやすく解説します。
ORA-00600とは何か?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エラーコード | ORA-00600 |
| 種別 | Oracle内部エラー |
| 原因 | Oracle内部の不整合、バグ、メモリ破損、ディスクI/O障害など |
| 対応難易度 | ★★★★★(要調査・要サポート) |
通常のSQLエラー(例:ORA-00904やORA-02292など)とは異なり、
Oracle内部の処理ロジックが想定外の状態に陥った場合に発生します。
ORA-00600のエラーメッセージ構造
出力例:
このうち [4194] は内部エラーの識別子であり、
この番号が原因を特定する上で重要なヒントになります。
調査の進め方(実務手順)
① アラートログの確認
まずは alert.log を確認します。
場所は $ORACLE_BASE/diag/rdbms/<DB名>/<インスタンス名>/trace/alert_<SID>.log です。
エラー発生時刻やトレースファイル(*.trc)のパスが記録されているはずです。
② トレースファイルの特定
alertログ内に以下のような行がある場合:
この .trc ファイルを開き、詳細なスタック情報を確認します。
サイズが大きい場合は head や grep で抜粋確認が有効です。
③ 引数番号(例:[4194])を確認
ORA-00600の最初の引数 [nnnn] が内部不整合の種類を示します。
| 引数番号 | 主な意味 | 想定原因 |
|---|---|---|
| [4194] | UNDOとREDOの不整合 | 異常終了・リカバリ失敗 |
| [729] | メモリ管理関連 | バッファ破損・メモリリーク |
| [17114] | 制御ファイル破損 | ディスク障害・I/O問題 |
| [6002] | ログ書き込み異常 | LGWRプロセス異常・ディスク障害 |
④ Oracleサポートサイト(MOS)で検索
引数番号をキーに、**My Oracle Support(MOS)**で検索します。
検索例:
MOS上では、バージョンごとのバグ情報・パッチ適用案内が提供されています。
(MOS契約がない場合は公式ドキュメントまたはStack Overflowなども参考になります)
⑤ 環境情報を整理
サポート問い合わせや調査をスムーズにするため、
以下の情報を事前にまとめておきましょう。
| 情報項目 | 内容例 |
|---|---|
| Oracleバージョン | 19.18.0.0.0 |
| OS | Red Hat Enterprise Linux 8 |
| 発生日時 | 2025-10-28 03:45頃 |
| エラーログパス | /u01/app/oracle/diag/... |
| エラーメッセージ全文 | ORA-00600 [4194], [11], [10] |
| 発生操作 | バックアップジョブ実行中 |
| 対応状況 | DB再起動で一時回復 |
一時的な対応(応急処置)
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① | DBを安全に停止し、トレース取得後に再起動 |
| ② | UNDO/REDOログ領域を確認(破損がないか) |
| ③ | 該当セッションを強制終了し、再実行を控える |
| ④ | データファイルの整合性チェック (DBVERIFY, RMAN VALIDATE) |
恒久対応の考え方
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最新パッチ適用
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opatch lsinventoryで適用状況を確認。 -
MOSで対応パッチがある場合は即時検討。
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DB構成・ハードウェア診断
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メモリエラー(
ORA-600 [729]など)の場合はRAM検査も実施。
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バックアップの健全性確認
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RMANバックアップが破損していないか
RESTORE VALIDATEで確認。
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バージョンアップ検討
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古いバージョン(例:11gや12c)では既知バグが残存するケースが多いため、
19c以降への移行を推奨。
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具体例:ORA-00600 [4194]の対応例
この場合、UNDOとREDOの不整合が発生しています。
実際の対応例は以下の通り。
| 手順 | コマンド例 |
|---|---|
| UNDO情報確認 | SELECT tablespace_name, status FROM dba_rollback_segs; |
| REDOログ確認 | SELECT group#, status FROM v$log; |
| インスタンス再起動 | shutdown immediate; startup; |
| DB整合性検査 | DBVERIFY FILE=... |
再起動で回復する場合もありますが、再発するようであればパッチ適用必須です。
まとめ
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ORA-00600は「Oracle内部エラー」であり、アプリやSQLでは解決できない領域。
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最初に alert.log → トレース → 引数番号 → MOS検索 の流れで特定。
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一時対応後も、**恒久対策(パッチ適用・バージョンアップ)**を検討すること。
