「IT企業は儲かるのか?」という話をしたいと思います。
率直に言うと「儲かります」になりますが、だからと言ってお薦めはできません。
今、自分は東京のソフトハウスは辞めて、地方のメーカー勤務なのですが、利益率が7%で、
「すごい! 良くやった!」
と社長が大喜びしているワケです。まぁ、普通はそうなのだと思います。何を作るのにも「材料」が必要ですからね・・・ソフト以外は。
そうです。ソフトウエアは、マシンと開発環境、そして「作る人」さえ居れば作れてしまうワケです。
仮に人件費が同じだとして、どちらの生産性が高いかは、考えなくても明らかですよね。
次に売上金額の違い。
バブル期は、いわゆる「SE単価」が「100万円」なんて時期がありました。つまり、そこそこの実力のSEを一ヶ月稼働させる対価が100万円。バブル崩壊後は、100万円なんて見積もりを出したら客に激怒されましたが・・・それでも、自分の最大売上は月間で200万円を超えます。
開発に使用するマシンは、SGI製のワークステーションですが、顧客からの貸与品でした。
開発環境(C++コンパイラ等)は、SGI製の物がインストール済みでした。
仕事の内容が特殊なのと、会社が「下にもう一人、着けますから」と入ったので合計200万円ですが、実質私が一人で仕事をしていました。
「仕事」の内容には、カナダまで出張して、向こうの会社との打ち合わせなども含まれます。何年かこの仕事をやりましたが、この頃の私の月給が、「税込みで25万円」でした。
まぁ、これは特殊な例ですから、試しにプログラマやSEを客先に派遣する会社を考えてみましょう。
100万は無理なので、平均で60万円くらいにしておきましょうか。
月間の売上が60万円の人が10人居る会社だと、売上は月に600万円となります。12ヶ月で、7200万円ですね。
しかし、社員数10人と言ったら、零細企業となりますから、せめて社員20人で考えましょう。はい。年商1億4千万円。(これ、「利益率」とかで考えたら、どういう数字になるんでしょうか・・・?)
あとは、「いかに社員に金を払わないか」で努力をすれば、利益も相当な額が出るんじゃないでしょうか?
ちなみに、私に「税込み25万円」の給料を払っていた社長は、社員からもお客さんからも「キ●ガイ」と呼ばれていました。本人がどう思っているか知りませんが、あの人は、いつ誰かに刺されても何の不思議も無い人なワケです。
という事で、お金が儲かるのは確かだと思いますが、人生、そればかりが重要ではありません。自分がソフト屋の社長も目指さず、全くの別業界へ転職したのも、そう思った為です。
と言うか、ソフトという実体がないものに「振り回されている」感じに、嫌気がさしたのかも知れません。今は倉庫に出荷待ちの製品がずらりと並んでいるのを見ると、「そうそう。これが本当だろう!」という気持ちになってしまいます。
おそらく、自分がソフト業界に戻る事は無いと思います。