HULFT (UNIX/Linux 環境) でファイル配信を行った際、「完了コード250」が返されることがあります。公式ドキュメントではこのコードを “A server error” としており、集信側(受信側)で異常が発生したことを示しています。⇒ HULFT
本記事では、完了コード250の意味、原因、公式で推奨されている対処方法、実践的なチェックポイント、および再発防止策をまとめます。
完了コード250とは?
つまり、完了コード250は「送信側から配信は試みられたが、受信側で何かしら正常でない処理が起きて失敗した」ということを示す総称的なエラーで、原因の切り分けには “詳細コード” を見る必要があります。HULFT
主な原因(公式の可能性を含む)
ドキュメントに明記されている「完了コード250 → 集信側に異常が発生」の具体的な事例としては以下があげられます。これらは「詳細コード」によってどのような異常かが特定されます。HULFT
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ディスク容量不足など、受信側で書き込みができない状態 HULFT
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ファイルアクセス権限エラーやファイルロック状態 HULFT
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テキスト転送で「1 レコードのデータ長が最大値を超えている」 HULFT
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配信途中でファイルの編集や移動・削除など、ファイルの整合性が保てなくなる操作が行われた場合 HULFT
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フォーマットミスマッチ・バージョン不一致など、データ形式やコードセットに関する不整合 HULFT
対応手順(公式の指示+実践的対応)
以下は、公式ドキュメントの「対処(処置)」に加えて現場でよく使われるチェック項目を織り交ぜた手順です。
ステップ 1:ログ・詳細コードの確認
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HULFT の
hulog
、trnlog
もしくは配信ログを確認 -
完了コードが 250 の行を探す
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その行に 詳細コード(集信側の完了コード)が記録されているか確認 HULFT
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詳細コードに応じて原因の方向性を絞る
ステップ 2:受信側(集信側)の環境チェック
以下を重点的に確認します。
項目 | チェック内容 |
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ディスク容量 | 受信ディレクトリのあるファイルシステムの空き容量を確認 |
ファイルアクセス・ロック | 該当ファイル名が他プロセスにより使用中でないか、書き込み権限があるか |
ファイル操作 | 配信中に受信側でファイルを移動・削除・名前変更などしていないか |
フォーマット・レコード長 | テキスト転送時に1レコードの長さが制限(32768バイト)を超えていないかなど HULFT |
バージョン・コードセット | 転送や受信のフォーマット定義、文字コード変換などが正しく一致しているか |
ステップ 3:通信経路・送受信設定の確認
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ネットワーク切断、遅延、ファイアウォールによる通信遮断等の影響がないか
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送信側・受信側両方の HULFT 定義(配信パラメータ、フォーマットID、文字コードなど)が整合しているか
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マウントされているネットワークファイルシステム(NFS等)を使っている場合、属性キャッシュやマウントオプションが影響していないか確認 HULFT
ステップ 4:修正・再実行
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問題箇所が見つかったら修正(空き容量確保、権限修正、ファイルの整合性維持、フォーマット修正など)
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修正後、再度配信ジョブを実行
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再送前に、テスト環境や限定ファイルで動作を確認できるならそれを行う
再発防止策
公式仕様と実践双方から以下が有効です:
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監視体制の整備
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ディスク容量の自動監視
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ファイルシステムの状態/マウントオプションの監視
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HULFT ジョブのステータス監視(完了コードを含む)
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設定の標準化とレビュー
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フォーマット定義・文字コード・レコード長などをドキュメント化
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新しいノードや定義を追加する際のチェックリストを整備
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テスト運用
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転送前に小さなデータでテスト送受信を行う
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大容量/長レコード/特殊文字を含むデータの事前検証
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エラー通知システムの活用
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完了コード250やその詳細コードをトリガーにアラートをあげるように設定
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関係者に通知が行くようにすることで早期対応
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ケーススタディ(想定例)
例 1:テキストファイルの 1 レコードが長すぎる
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ある送信ジョブで、伝票データを1行にまとめすぎてしまい、1 レコードの文字数が制限(32,768バイト)を超えていた → 詳細コードが 251 の可能性あり。HULFT
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対策:レコードを分割するか、フォーマットを見直す
例 2:受信側のディスクフル
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受信サーバ上のディスク容量がゼロ近く、書き込みができずにエラー
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対策:不要ファイルの削除、ディスク拡張、ログのローテーション設定など
まとめ
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完了コード 250 は「受信側での異常」を示し、詳細コードにより原因の絞り込みが可能
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ログの確認 → 環境チェック → 設定見直し → 修正・再実行が基本の流れ
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再発防止のための監視・標準化・テストが重要