Oracle Databaseを利用していると、多くの人が一度は遭遇するエラーが 「ORA-01017: invalid username/password; logon denied」 です。
SQL*PlusやSQL Developerでのログイン、あるいはアプリケーションの起動時に表示され、作業がストップしてしまう厄介なエラーです。
本記事では、このエラーの 原因と解決方法を体系的に整理 し、実際の現場で役立つ対応手順を紹介します。
ORA-01017エラーとは?
このエラーは、Oracleが「入力されたユーザー名またはパスワードが正しくないため、ログオンを拒否した」と判断した際に表示されます。
主に以下のようなシーンで発生します。
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SQL*Plus で手動ログインするとき
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SQL Developer などのGUIツールから接続するとき
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Java/JDBCやPHP などのアプリケーションがDB接続を試みるとき
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バッチ処理 や シェルスクリプト による自動接続
単純にパスワードを打ち間違えただけでも発生しますが、実際の現場ではもっと複雑な原因が潜んでいることもあります。
ORA-01017が発生する主な原因
1. ユーザー名やパスワードの誤り
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スペルミス(大文字・小文字の違いも区別される)
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コピペ時の不可視文字(空白や改行が含まれている)
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ユーザー作成時に
"USERNAME"
のように ダブルクォーテーション付き で作成しており、大文字小文字が厳密に一致していない
2. アカウントがロックされている/パスワード期限切れ
Oracleではセキュリティのため、一定回数の失敗でアカウントがロックされたり、パスワードに有効期限が設定されている場合があります。
3. 認証方式の違い
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Oracle 12c以降では、古い認証方式(DESなど)が無効化されている
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古いクライアント/JDBCドライバで接続すると認証エラーになる
4. 接続先の設定ミス
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tnsnames.ora
の設定が間違っている -
service_name
やSID
が異なる環境を参照している -
テスト環境と本番環境を取り違えている
5. 外部認証の影響
-
OS認証(
/ as sysdba
)を利用しているが権限が不足している -
パスワードファイル(
orapwd
)が正しく作成されていない
ORA-01017エラーの解決方法
1. ユーザー名・パスワードを正確に確認する
まずは基本中の基本。
-
コピー&ペーストではなく手入力 で試す
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大文字小文字を区別することを意識する
-
ユーザー作成時に
"USERNAME"
のように指定していないか確認
2. アカウントの状態を確認する
管理者ユーザーで以下を実行します。
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LOCKED
→ALTER USER ユーザー名 ACCOUNT UNLOCK;
-
EXPIRED
→ALTER USER ユーザー名 IDENTIFIED BY 新パスワード;
3. 認証方式を見直す
ユーザーごとのパスワードバージョンを確認:
1 |
SELECT username, password_versions FROM dba_users; |
-
10G
のみ → 古い方式。新しいクライアントで接続不可の可能性あり -
11G
や12C
が含まれているか確認 -
JDBCドライバやOCIクライアントを 最新化 する
4. 接続文字列を確認する
誤接続が多いポイントです。
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hostname
やservice_name
が正しいか -
ローカルの
tnsnames.ora
が古い情報を持っていないか
5. 外部認証を確認する
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OSユーザーに必要な権限があるか
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SYSDBA接続が可能な状態か
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パスワードファイルが壊れていれば
orapwd
コマンドで再作成
現場でのチェックリスト
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入力の大文字・小文字を再確認する
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コピペではなく手入力で試す
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DBA_USERS
を確認してアカウント状態を把握 -
クライアントやJDBCドライバを最新化
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接続先(サービス名/ホスト名)が正しいか見直す
-
OS認証やパスワードファイルに問題がないか確認
まとめ
「ORA-01017」は、単純に「パスワード間違い」と片付けがちですが、実際には アカウントロック、認証方式、接続先設定の誤り など複数の要因が絡むことがあります。
対処の基本ステップは以下の通りです。
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入力の確認 → アカウント状態の確認 → 認証方式・接続設定の見直し
これを押さえておけば、大半のケースで迅速に問題を解決できます。