最近、一部の企業で「社員証や入館証を毎週持っているかチェックする」という運用が行われているという噂を耳にします。社員証には入館証の機能なども併用して持たせている企業も多いので、
一見すると「セキュリティを高めている」ように見えますが、実際にはこれは上層部だけが満足するセキュリティを強化しない無駄な儀式でしかなく、むしろ社員の不信感を高める行為になるのでまとめてみました。
筆者も以前、週毎に所持チェックなどが実施された時期があってうんざりしていたことがあったので注意喚起も込めてます。
1. チェックしても失くした場合は即日悪用されるリスク
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入館証を落とした場合、拾った人に悪意があればその日から建物に入れてしまいます。
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仮に「週一で持っているかチェック」しても、発覚するのは最長で7日後。
※じゃあ毎日チェックすればいいという話ではありませんからねw -
つまり、被害が起きてから気づくだけで、防止にはなりません。
2. 「持っているか」しか見ていない
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チェックは所詮「その時にカードを持っている」ことしか確認できません。
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しかし問題は「持っている本人が正しい人かどうか」「貸し借りや不正利用がないか」です。
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本来求められるのは 本人確認(生体認証やスマホ認証) であって、カードの有無ではありません。
3. 無駄にコストだけかかる
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例えば500人の会社で、1人あたりチェックに1分かかるとします。
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毎週やれば 年間400時間以上の労働時間が消えます。
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その割に得られるセキュリティ効果はゼロ。費用対効果としても最悪の愚行です。
4. 本当に強化すべきはここ
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紛失した時にすぐ失効できる仕組み
→ 「無くしたら即座に無効化」ができれば、拾われても使えない。 -
入口での本人確認を強化
→ 生体認証やスマホ連動で「本人+デバイス」の組み合わせを確認する。 -
入退館ログの自動監視
→ 普段と違う時間帯や場所の入館を自動検知してアラートを出す。
これらは「社員証チェック」よりも遥かに直接的で効果があります。
5. チェックはむしろ逆効果
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社員から見ればこの時代に小学生の名札チェックのようなことをいい大人になってもされることで会社から「信用されていない」「子供扱いされている」としか映らず、不信感しか生まれません。
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会社側は「安心したいだけ」、社員側は「不信感しか生まれない」という最悪の意識ギャップが生まれます。「典型的なSecurity Theater(見せかけの安全)」
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結果、セキュリティ意識が高まるどころか、信頼関係が壊れてモチベーション低下につながり、最悪退職などにもつながりかねません。
まとめ
社員証の所持を頻繁にチェックすることは、セキュリティ強化には一切つながりません。
必要なのは「即時失効」「本人確認の仕組み強化」「ログ監視」であり、持ち物検査のような形式的な運用ではありません。
企業側が「やってる感」で安心したいだけの施策は、結局社員からの信頼を失い、逆にリスクを高める結果を招くので注意しましょう。