年末年始は長期休暇に入りやすく、システム監視体制が手薄になりがちです。そのタイミングを狙って DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃) が行われるケースは少なくありません。
本記事では、年末年始を迎える前に管理者が必ず確認しておくべきDDoS攻撃対策 を、実務目線で整理します。
DDoS攻撃とは?なぜ年末年始に増えやすいのか
DDoS攻撃とは、複数の端末から大量の通信を送りつけることで、サーバーやネットワークを過負荷状態にし、サービスを停止させる攻撃です。
年末年始にDDoS攻撃が増えやすい理由には、次のような背景があります。
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管理者・運用担当者が休暇に入り、初動対応が遅れやすい
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障害対応要員が最小体制になりやすい
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ECサイトや予約システムなど、トラフィックが増えるサービスが多い
「復旧が遅れやすい時期」であること自体が、攻撃者にとって好都合な条件になります。
年末年始前に必ず確認したいDDoS攻撃対策チェックリスト
① トラフィック監視・アラート設定の確認
まず最優先で確認すべきなのが、異常なトラフィック増加を即座に検知できるか です。
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通常時のトラフィック量を把握しているか
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一定以上の通信量でアラートが発報される設定になっているか
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メール・チャットなど複数経路で通知されるか
「気づいたときにはすでに落ちていた」状態を防ぐことが重要です。
② FW・WAF・CDNのDDoS対策設定を見直す
DDoS攻撃対策は、ネットワーク境界でどこまで防げるか が鍵になります。
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ファイアウォールで不要なポートが閉じられているか
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WAFのレート制限・IP制御が有効か
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CDNやDDoS対策サービスが有効化されているか
特に「普段はオフにしている制限」がある場合、年末年始は有効化を検討すべきです。
③ ログ取得・保存期間の確認
攻撃発生時や事後調査に備え、ログが十分に残る状態か を確認します。
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アクセスログ・FWログが有効か
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保存期間が短すぎないか
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ログが容量不足で停止しないか
ログが残っていないと、原因特定や再発防止が困難になります。
④ 無人時間帯の対応ルールを明確にする
年末年始は「誰が・いつ・どこまで対応するのか」が曖昧になりやすい時期です。
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障害検知時の一次対応者は誰か
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外部ベンダーやクラウド事業者への連絡手順
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サービス停止判断の基準
これらを 事前に文書化・共有 しておくことで、初動の遅れを防げます。
⑤ 連絡体制・エスカレーション経路の確認
DDoS攻撃は、技術的対応だけでなく 連絡の速さ が被害を左右します。
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管理者・上長・関係部署の連絡先は最新か
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夜間・休日でも連絡が取れるか
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外部ISP・セキュリティベンダーの窓口は把握しているか
「連絡先が古くて繋がらない」は年末年始にありがちな落とし穴です。
年末年始にDDoS攻撃を受けた場合の初動対応ポイント
万が一攻撃を受けた場合は、次の順で冷静に対応します。
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トラフィック増加や異常ログを確認
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FW・WAF・CDNで通信制限を即時適用
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サービス影響範囲を把握し関係者へ共有
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必要に応じて外部ベンダーへエスカレーション
「完璧に防ぐ」よりも、「早く気づいて被害を最小化する」ことが重要です。
まとめ|年末年始は「事前準備」が最大のDDoS対策
年末年始のDDoS攻撃対策で最も重要なのは、休暇に入る前の準備 です。
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監視・アラートは本当に機能しているか
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無人運用でも対応できる体制か
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連絡・判断ルールは明確か
これらを事前に確認しておくだけで、年末年始のインシデントリスクは大きく下げられます。
長期休暇に入る前に、ぜひ一度チェックしてみてください。

