Oracle Database を運用している環境において、ある日突然 DML や DDL が待たされ、調査を進めると
「ORA-01591:インダウト分散トランザクション xxx がロックを保持しています。」
というエラーに遭遇することがあります。
このエラーは、通常のロック競合とは性質が異なり、分散トランザクション特有の仕組みが関係しています。誤った対処を行うと、データ不整合や業務停止につながる可能性があるため、原因と正しい対応方法を理解しておくことが重要です。
本記事では、ORA-01591 が発生する仕組み、発生原因、確認方法、そして安全な対処手順について整理して説明します。

ORA-01591 とは何か
ORA-01591 は、インダウト(in-doubt)状態の分散トランザクションが、データベースオブジェクトに対するロックを保持し続けている場合に発生するエラーです。
分散トランザクションとは、データベースリンクなどを利用して、複数の Oracle Database にまたがって実行されるトランザクションを指します。代表的な例として、DBリンク経由の更新処理や、外部システム連携を伴うバッチ処理などがあります。
これらの処理では、2フェーズコミットと呼ばれる仕組みが使われます。
この途中で通信障害や障害停止が発生すると、トランザクションの最終結果(コミットまたはロールバック)が確定できない状態になります。この状態が「インダウト分散トランザクション」です。
インダウト分散トランザクションが発生する仕組み
2フェーズコミットでは、以下の流れで処理が行われます。
- 各参加データベースがコミット可能か確認する
- 全参加先が問題なければ、最終的にコミットを確定する
この途中で以下のような事象が発生すると、トランザクションの結果が確定しません。
- ネットワーク断
- 接続先データベースの異常終了
- 分散トランザクション中のインスタンス障害
- DBリンク先の切断やタイムアウト
結果として、トランザクションは「完了していないが、途中まで処理された状態」となり、対象行やオブジェクトのロックが解放されないまま残ります。
ORA-01591 が発生する主な原因
ORA-01591 の直接的な原因は、インダウト分散トランザクションが未解決のまま残っていることです。
その背景として、以下のような状況が挙げられます。
- DBリンクを利用した更新処理中に通信エラーが発生した
- 分散トランザクション実行中に接続先データベースが停止した
- バッチ処理実行中にアプリケーションが強制終了した
- トランザクションの解決処理が管理者により行われていない
この状態では、通常の COMMIT や ROLLBACK を実行してもロックが解消されず、別セッションの更新処理がブロックされます。
ORA-01591 が業務に与える影響
このエラーが発生すると、次のような影響が出る可能性があります。
- 対象テーブルへの INSERT、UPDATE、DELETE が停止する
- DDL(ALTER TABLE、DROP など)が実行できない
- 関連する業務処理が待ち状態になる
- 障害対応が長期化する
特に、業務バッチやオンライン処理が混在する環境では、影響範囲が広がりやすいため注意が必要です。
インダウト分散トランザクションの確認方法
ORA-01591 が発生した場合、まずはインダウト分散トランザクションの有無を確認します。
Oracle Database では、専用のデータディクショナリビューが用意されています。
確認対象として代表的なものは以下です。
- DBA_2PC_PENDING
- DBA_2PC_NEIGHBORS
これらのビューを参照することで、未解決の分散トランザクションが存在するか、どのデータベースが関係しているかを確認できます。
この段階で重要なのは、即座に削除や強制処理を行わないことです。
トランザクションの状態や業務影響を十分に確認する必要があります。
対処法の基本方針
ORA-01591 の対処は、次の順序で行うことが推奨されます。
- 分散トランザクションの状態を確認する
- 本来の結果(コミットかロールバック)を確認する
- 必要に応じて管理コマンドで解決する
誤った判断で強制的にロールバックや削除を行うと、データ不整合が発生する可能性があります。
管理者による代表的な対処方法
インダウト分散トランザクションが解消されない場合、DBA により管理コマンドを使用して解決します。
代表的な方法としては以下があります。
- COMMIT FORCE を使用して強制的にコミットする
- ROLLBACK FORCE を使用してロールバックする
- 不要なトランザクションを管理ビューから削除する
これらの操作は、トランザクションの本来の結果が確認できている場合にのみ実施すべきです。
業務担当者やアプリケーション担当と連携せずに実行することは推奨されません。
再発防止のためのポイント
ORA-01591 を再発させないためには、以下の点が重要です。
- DBリンクを使用する処理の設計を見直す
- 分散トランザクションを必要最小限に抑える
- ネットワークの安定性を確保する
- 障害発生時の運用手順を事前に整備する
- 定期的に未解決トランザクションを監視する
特に、夜間バッチや外部連携処理では、障害発生時の復旧フローを明確にしておくことが重要です。
まとめ
ORA-01591 は、Oracle Database における分散トランザクション特有のエラーであり、単純なロック競合とは異なります。
原因を理解せずに対処すると、データ不整合や業務停止につながる可能性があります。
インダウト分散トランザクションの仕組みを理解し、正しい確認手順と対応方法を把握しておくことで、冷静な障害対応が可能になります。
本番環境で発生した場合は、必ず影響範囲を確認し、関係者と連携した上で対処を行うようにしてください。



