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NTTドコモのeSIM障害事例で考える:物理SIMとの運用リスク・セキュリティ比較

2025年9月19日、NTTドコモで eSIMの開通ができなくなる障害 が起きました。原因は設備の故障とされています。翌20日には復旧しましたが、iPhone 17シリーズ発売直後ということもあり、多くのユーザーが影響を受けました。

この出来事は、「eSIMは便利だけど、物理SIMと比べて本当に安全で安心なのか?」という疑問を改めて考えるきっかけになります。ここではIT系の視点から、eSIMと物理SIMの違いを運用リスクとセキュリティの観点で整理してみます。


eSIMの特徴

メリット

  • 物理カードが不要 → 盗難や抜き取りの心配が少ない

  • プロファイルは暗号化され、再発行にはキャリア認証が必要

  • 紛失時でもリモートで停止や再開ができる

デメリット

  • キャリアの設備に依存しているため、今回のようにサーバーが壊れると新規開通が止まる

  • スマホを紛失・故障すると、再発行手続きなしでは復旧できない

  • アカウント乗っ取りからの「不正再発行(SIMスワップ詐欺)」に注意が必要


物理SIMの特徴

メリット

  • 差し替えで復旧可能:障害があっても、既存SIMはそのまま動作し続ける

  • 物理的にスマホから抜けば、通信を即座に止められる

  • 別の端末に入れればすぐ利用できる

デメリット

  • 小さいカードなので、紛失や破損のリスクあり

  • 盗難時に抜き取られて不正利用される可能性がある

  • SIMスワップ詐欺のリスクはeSIMと同じく存在する


今回の障害から見えること

  • 逃げ道がなかった
    eSIMは便利ですが、キャリアの設備に強く依存しているため、一部が壊れると利用者がどうにもできない状況になります。

  • リスク分散が必要
    特に仕事でスマホを使う人や法人利用では、eSIMだけに頼るのは危険。物理SIMや別キャリア回線を組み合わせて、トラブル時の選択肢を確保することが重要です。

  • セキュリティと運用性のバランス

    • eSIM → セキュリティ面は強いが、障害や復旧時の柔軟性に課題

    • 物理SIM → 運用面は柔軟だが、盗難や不正利用のリスクは残る


まとめ

eSIMは「セキュリティ」や「管理のしやすさ」に優れますが、キャリア側に障害があるとユーザーが何もできないという弱点があります。
物理SIMは古い仕組みですが、差し替えや抜き差しで自分で対応できる点が強みです。

結論として、どちらか一方だけに頼るのではなく、eSIMと物理SIMを併用したり、別キャリアをサブ回線として持つことが安心につながります。