老荘思想に基づいたプロジェクト管理

大手メーカー系の開発プロジェクトに参加した時の話です。

親会社がメーカーという事で、子会社はその顧客の「別な部分」の仕事を受注するワケです。
かつて、大型汎用機が一般だった時代は、
「ハードをある会社の物にした場合、ソフトもその会社の物でないと動かない」
という縛りがあったワケですが、それとは違い、「商売上の利点」でそうしている模様でした。
つまり、ソフト的には初受注のお客さんでありながら、グループ企業間の別な商売上のつきあいは数十年の長きに渡りという感じで、まぁ「大・得意客」だったりするワケですね。

こうなると、ソフト開発でも下手な態度は取れません。
基本的に、「100%お客さんの言うとおり」に作業する事になってしまいます。

この状態で、開発プロジェクトのスケジュールを作るマネージャーは大変です。
「お得意さん相手」という事で、無制限に人や金を使えるなら問題はありませんが、さすがにそうは行きません。
限られた予算、限られた人員で、顧客の「無理」を聞く、というのは、実質、不可能なワケです。
という事で、自分が参加した時点で、プロジェクトのマネージャーが
「既に二人、病院送り」
となっていました。何度スケジュールを引き直してもダメなので、ついには精神を病んだ、との事で恐ろしいとしか言い様がありません。

ここまで来ると、会社も体面がありますし、大企業は人材が豊富です。
こういった有事に備えての「究極兵器」的な人間をマネージャーとして投入して来ました。
「その人は・・・何もしない人でした。」
誰から何を依頼されても・・・何もしない。
この人の周りは激怒し、次にはパニックになりましたが・・・本人は何もしない。

となると、この人の周囲に居る腕のある人達が、勝手に自分の縄張りを切り盛りし始めます。
関係者と緊密に連絡を取り合い、全体が破綻しない様にプロジェクトは回り始めました。
「そして、マネージャー本人は・・・何もしない。」
未だに思うのですが、あれは「そういう作戦」だったんでしょうか?
自分自身は「何もしない」事で、「周りを走らせる」タイプの大人物だったのでしょうか・・・?(私見ですが、どうしても「そうは見えなかった」と言っておきます)
あるいは、「マネージャ不在」となる事態を避ける為に、「とにかく、何が起きても大丈夫」と踏んだ、無責任かつ無神経な人物を選んだという事なのでしょうか?

まぁ、何もしないワケですから、確かに何のダメージも受けませんけどね。(「無用の用」ってヤツですか)
それに、プロジェクトのトップなワケだから、実作業を何もしなくても・・・まぁ、悪くは無いのか・・・。

ある意味「大企業の懐の深さ」を感じた一件でした。

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