「IT業界の裏話」カテゴリーアーカイブ

IT業界の昔話

どんな業界でも、上司が酔って「俺が若いころなんかなぁ、お前・・・」などと言い出す事がありますよね。

聞かされる若い方は、「いやー。今、そんな話をされてもなぁ・・・。」というのが本音なのですが、立場的に黙って聞く以外にありません。
面白く無い事も無いのですが・・・まず、役に立たない系の話ばかりです。
そういう自分も、「昔」を語れるくらいの年齢になりましたから、自分が聞いた話なんか、今の若い人からしたら、
「恐竜の吠える声」
みたいなもんでしょう。(それが判っても「へぇー」と言うしか無く、何の役にも立たない、と。)

以下に、いくつかご紹介したいと思います。

俺が若い頃は、「プリンタ当番」ってのが居てなぁ・・・。

    いわゆる「レーザープリンタ」の出始めの頃の話でしょう。
    内部温度が高かったのだと思います。
    「紙詰まり」が発生すると、詰まった紙が燃え始める為、それを取り除く係が「菜箸」を持って横で待機する、と・・・。
    今は家庭用のレーザープリンタまでありますから、大昔の話と言って良いでしょう。

俺が若い頃は、「カード」にパンチして・・・。

    紙製の「穿孔カード」に穴を開けることで、プログラムを記録していた時代の話です。
    私も実物は見たことがありません。
    私の先輩の「初仕事」は、このカードの束を「電算センター」へ持っていく事だったそうです。
    1列に8個、穴を開けるスペースがあって、つまりは1列で8ビット=1文字となります。
    穴を開ける/開けないが1と0に対応しているので、間違ったところに「上から紙を貼って誤魔化す」事もできたそうです。
    達人クラスになると、このカードを「直接読んでデバッグした」という話ですけど・・・。
    それって、スゴいんでしょうか? スゴいんでしょうね、きっと・・・。
    ちなみに、カードが大量に入った箱を「うっかり落としてしまう」と順番が判らなくなって、大変な事になったそうです。

初期のワープロの謎な仕様

    私の実体験だと、前述の例ほど昔っぽい話はありませんけど、5インチのFDは使ってしました。
    会社で使っていたワープロが「DOS文書プログラム」という物で、5インチの大きなFDを、何枚も入れたり出したりしながら使うものでした。
    連文節変換など無い頃で、1単語づつ、ヘタすると1文字づつ漢字変換する必要がありました。
    変換可能な語彙は少ないのに、何故か、「しん」という読みに対して「志ん」が登録されているなど、謎な仕様も多かったです。
    「慎重に対処する所存です」と入力しようとして「志ん朝に対処する所存です」に変換されたら誰だって驚きますよね。

まだまだ有りますが、この辺にしておきましょう。

ITとヤ●ザ

IT系の仕事とヤ●ザ、接点は無い様な気がすると思いますが・・・。
結構、あります。

自分が経験した例だと、
「社長がヤ●ザだった」
なんて事までありますし。

いわゆる「ベンチャー企業」で、何かの権利を取るための「口利き」を頼んで縁ができて、結局はグループ企業の社長になった、という展開らしいです。
と言っても、別に自分の組を持っている様な大物ではなくて、「困ると金を積んでヤ●ザを頼る」系の人物です。
やたらと、どこの組の組長と知り合いだの話をしたがりますが、「知り合い」という事は、本当の関係者では無いワケですよね。
社長という役職は、実務に携わらない事が多いので、こういう「困った時に頼りになる」タイプも、結構居るわけです。

また、
「顧客が、ほぼ100%ヤ●ザだった」
という事もありました。

昔、電話回線をPC中のボードにつないで各種の処理を行わせる「CTI」という技術が持て囃された事がありました。
本来であれば、恐ろしく高価な「電話交換機」みたいなものが安価に作れてしまうワケですね。
このCTI系の高い技術を持っている企業に就職したところ・・・。
顧客が全て、いわゆる「出会い系」の事業をやっている会社だった、という事です。
当時は、「ダイヤルQ2」という物があって、要は出会い系の電話サービスです。
こういう事で日銭を稼いでいるのは、当然、まっとうな会社ではなく・・・となります。
実際、納品したシステムが不具合で停止した時は、同僚の家までチンピラが押しかけて来たそうですし。

あとは、聞いた話で、名だたる大企業が困るとヤ●ザを呼ぶ話とかありますけど、とても書けません・・・。

正社員募集は、実はビルゲイツ募集だった

基本的に、受託開発をメインとするIT企業は、仕事がある時は技術者に居てもらいたいけれど、仕事がなくなったら技術者もいなくなって欲しいというのが本音でしょう。
ですから、なるべく契約社員・派遣・請負といった形で、短期的手に人材を確保したがります。

地方の中小IT業界でも、そのスタンスは変わりませんが、なぜか頻繁に正社員を募集している会社の取締役と話をする機会がありました。
曰く「ビルゲイツみたいに優秀な技術者が来たら、すぐ正社員にするよ。募集を出しておかないと来てくれないからね」とのこと。
ちょっと優秀な程度では採用しないよ、ということでした。
そして、採用しなかった技術者の情報は「イザという時の契約社員候補」としてストックされることになります。
知り合いのIT企業が「その人を短期で使いたい」と言ってくれれば、仲介してマージンをとることができるからです。

履歴書を事前に提出した技術者が、一次面接の席で「実はB社であなたのような人材が必要だそうです。よろしければ紹介しましょうか」と、右から左へ流されていった例も。もちろん紹介した会社は、毎月その技術者の給与の上前をハネているというのが現実です。

提出した履歴書の悲しい顛末

ハローワークや求人サイトの求人情報を見て応募する場合、履歴書と職務経歴書を提出することになります。
応募する側は、できるだけ自分を正しく判断してもらえるように、わかりやすく簡素に且つ詳細にと心を砕いて製作していると思います。
それらの書類が、応募先の企業だけでなく、勝手に他のIT企業にも転送され、閲覧され、最悪の場合は無関係な人に晒されているかもしれません。

これは、地方の中小IT業界で体験したのですが、本当にぞんざいに履歴書・経歴書が飛び交っていました。
社員が漏洩しているわけではありません。会社の社長クラスの人々です。
「うちの求人にこんな人が来た。書類送るわ」と、懇意にしている他社の社長や幹部に宛てて、かなり気軽にバラまかれていました。

しかも書類を気軽に複製して、気軽に持ち歩き、最終的に裏紙としてコピー機にセットされているのも日常茶飯事。
コピーをとったら、誰かの履歴書が裏紙で出てくるのですから、最初はこちらもビックリしましたが、次第に慣れて、そっとシュレッダーにかけてあげる日々でした。
個人情報保護なんて、ただのお題目なんですね・・・。

IT企業は儲かるのか?

「IT企業は儲かるのか?」という話をしたいと思います。

率直に言うと「儲かります」になりますが、だからと言ってお薦めはできません。
今、自分は東京のソフトハウスは辞めて、地方のメーカー勤務なのですが、利益率が7%で、
「すごい! 良くやった!」
と社長が大喜びしているワケです。まぁ、普通はそうなのだと思います。何を作るのにも「材料」が必要ですからね・・・ソフト以外は。

そうです。ソフトウエアは、マシンと開発環境、そして「作る人」さえ居れば作れてしまうワケです。
仮に人件費が同じだとして、どちらの生産性が高いかは、考えなくても明らかですよね。

次に売上金額の違い。
バブル期は、いわゆる「SE単価」が「100万円」なんて時期がありました。つまり、そこそこの実力のSEを一ヶ月稼働させる対価が100万円。バブル崩壊後は、100万円なんて見積もりを出したら客に激怒されましたが・・・それでも、自分の最大売上は月間で200万円を超えます。

開発に使用するマシンは、SGI製のワークステーションですが、顧客からの貸与品でした。
開発環境(C++コンパイラ等)は、SGI製の物がインストール済みでした。
仕事の内容が特殊なのと、会社が「下にもう一人、着けますから」と入ったので合計200万円ですが、実質私が一人で仕事をしていました。
「仕事」の内容には、カナダまで出張して、向こうの会社との打ち合わせなども含まれます。何年かこの仕事をやりましたが、この頃の私の月給が、「税込みで25万円」でした。

まぁ、これは特殊な例ですから、試しにプログラマやSEを客先に派遣する会社を考えてみましょう。
100万は無理なので、平均で60万円くらいにしておきましょうか。
月間の売上が60万円の人が10人居る会社だと、売上は月に600万円となります。12ヶ月で、7200万円ですね。
しかし、社員数10人と言ったら、零細企業となりますから、せめて社員20人で考えましょう。はい。年商1億4千万円。(これ、「利益率」とかで考えたら、どういう数字になるんでしょうか・・・?)
あとは、「いかに社員に金を払わないか」で努力をすれば、利益も相当な額が出るんじゃないでしょうか?

ちなみに、私に「税込み25万円」の給料を払っていた社長は、社員からもお客さんからも「キ●ガイ」と呼ばれていました。本人がどう思っているか知りませんが、あの人は、いつ誰かに刺されても何の不思議も無い人なワケです。

という事で、お金が儲かるのは確かだと思いますが、人生、そればかりが重要ではありません。自分がソフト屋の社長も目指さず、全くの別業界へ転職したのも、そう思った為です。
と言うか、ソフトという実体がないものに「振り回されている」感じに、嫌気がさしたのかも知れません。今は倉庫に出荷待ちの製品がずらりと並んでいるのを見ると、「そうそう。これが本当だろう!」という気持ちになってしまいます。

おそらく、自分がソフト業界に戻る事は無いと思います。

老荘思想に基づいたプロジェクト管理

大手メーカー系の開発プロジェクトに参加した時の話です。

親会社がメーカーという事で、子会社はその顧客の「別な部分」の仕事を受注するワケです。
かつて、大型汎用機が一般だった時代は、
「ハードをある会社の物にした場合、ソフトもその会社の物でないと動かない」
という縛りがあったワケですが、それとは違い、「商売上の利点」でそうしている模様でした。
つまり、ソフト的には初受注のお客さんでありながら、グループ企業間の別な商売上のつきあいは数十年の長きに渡りという感じで、まぁ「大・得意客」だったりするワケですね。

こうなると、ソフト開発でも下手な態度は取れません。
基本的に、「100%お客さんの言うとおり」に作業する事になってしまいます。

この状態で、開発プロジェクトのスケジュールを作るマネージャーは大変です。
「お得意さん相手」という事で、無制限に人や金を使えるなら問題はありませんが、さすがにそうは行きません。
限られた予算、限られた人員で、顧客の「無理」を聞く、というのは、実質、不可能なワケです。
という事で、自分が参加した時点で、プロジェクトのマネージャーが
「既に二人、病院送り」
となっていました。何度スケジュールを引き直してもダメなので、ついには精神を病んだ、との事で恐ろしいとしか言い様がありません。

ここまで来ると、会社も体面がありますし、大企業は人材が豊富です。
こういった有事に備えての「究極兵器」的な人間をマネージャーとして投入して来ました。
「その人は・・・何もしない人でした。」
誰から何を依頼されても・・・何もしない。
この人の周りは激怒し、次にはパニックになりましたが・・・本人は何もしない。

となると、この人の周囲に居る腕のある人達が、勝手に自分の縄張りを切り盛りし始めます。
関係者と緊密に連絡を取り合い、全体が破綻しない様にプロジェクトは回り始めました。
「そして、マネージャー本人は・・・何もしない。」
未だに思うのですが、あれは「そういう作戦」だったんでしょうか?
自分自身は「何もしない」事で、「周りを走らせる」タイプの大人物だったのでしょうか・・・?(私見ですが、どうしても「そうは見えなかった」と言っておきます)
あるいは、「マネージャ不在」となる事態を避ける為に、「とにかく、何が起きても大丈夫」と踏んだ、無責任かつ無神経な人物を選んだという事なのでしょうか?

まぁ、何もしないワケですから、確かに何のダメージも受けませんけどね。(「無用の用」ってヤツですか)
それに、プロジェクトのトップなワケだから、実作業を何もしなくても・・・まぁ、悪くは無いのか・・・。

ある意味「大企業の懐の深さ」を感じた一件でした。

年下の上司。

メーカーからIT企業に転職し、そのスピード感、若さに圧倒される日々でした。転職して配属された部署の最初の上司は、3歳年下の元気な方でした。
年下とは言え、知識は豊富で経験も充分で、年下なのに10歳以上年上なのではないかと思え、驚いたことを覚えています。
しかし、時折、若さゆえの失敗もあり、それも微笑ましくも思えました。気を遣うのは、飲み会の場での支払いです。
おごってもらうのも気がひけるし、おごるのも気がひけるので、割り勘でいいと思うのですが、時々おごってくれそうになるのです。
一度おごってもらうと、その次はもっと考えてしまいます。IT業界だからと特別ということもないのですが、やはり年下の上司は発生しやすい状況はIT業界の特徴かもしれません。メーカーに勤務していた頃は、良くも悪くも年功序列の雰囲気もあって、上司におごってもらうことに抵抗は少なかったのですが、転職した後は、このような仕事以外のことにも少々気を遣うようになりました。

意外に難しい「超」初心者のお客様への接客

私は以前、光回線・プロバイダーの代理店に勤めていました。
量販店でパソコンを購入されたお客様へ、光回線契約とプロバイダーへの同時加入をお勧めして契約をとる、いわばITの営業職です。
接客していると様々なお客様がいらっしゃいます。
パソコンやネットのことを熟知しておられて、時にはプロでも知らないような専門的な質問をされる方もいるので日々勉強が欠かせません。
しかし、意外に思われるかもしれませんが、一番接客が難しいと感じるのは、パソコンを使うのも初めてという「超初心者」のお客様です。
ついつい業界の人間は知っているのが当たり前と思い「プロバイダー」「ダウンロード」などの用語を使ってしまいますが、ご高齢の方は単語の意味を御存じないことも。
「専門用語がわからないので易しく説明してくれますか?」と言われ「プロバイダー」を「回線の接続業者」、「ダウンロード」を「情報の受け取り」などと言い換えて説明するので、非常に神経を使います。
「インターネットって何?」と聞かれたときは、どう説明したものかと思いましたが「世界中の、パソコン同士のつながりのことです。互いにつながると写真や文章のやりとり、調べ物などもできますよ」と説明して御理解いただけたときは安心しました。

IT業界の会社の内情ってこんな感じ・・・。

私は以前、IT業界の会社で働いていました。

みなさん、IT業界と聞くと一体何をしているかわからない。
とにかく最先端の商品、サービスを扱う専門家集団なんじゃないか?
社員の働き方も一般企業とは違って、個人主義で他人には無干渉。
実力さえあればどんどん上へ上り詰めることができる。

そんなとっても格好いいイメージをお持ちではないでしょうか?
もちろん、そのイメージ通りの会社もあることでしょう。

しかし、大部分のIT企業は真逆です。

扱う商品は世の中の先端を行っていても、会社の内情はというとそうでもない場合が多いんです。
外資系のような、定時で仕事は終わりなんてことはまずありませんね。
残業は当たり前。
しない日なんてない。しかも残業代は払われないこともしばしば。

強制的に参加させられる飲み会なんて、IT企業にはないですよね…

そんな訳はありません。まだまだ体質が昔気質のIT企業は行きたくもない上司の顔色うかがいの飲み会なんて日常茶飯事。女性はセクハラ被害を受けないように気をつけることが大事です。

専門家ではなくても専門家として参加できるIT業界

IT業界、特にシステムインテグレーターで他社と共同で開発プロジェクトに参加すると、
まさに人材が玉石混交であることが分かります。

例えば筆者の場合。もともとはWindows関連の技術で仕事をしていたのですが、ある時の案件
では、全く経験がないのにLinuxの専門家としてプロジェクトに参加することになりました。
少々のLinuxエンジニアではなくて、Linuxに精通したエンジニアとして。

プロジェクトメンバーの頭数を合わせるためか、それとも筆者に対する教育的な意図なのか
分かりませんが、知識ゼロから専門家として現場に出るようになったわけです。

そして、このような事情は筆者だけはなく、共同でプロジェクトに参加した他社のメンバーも
同様のようでした。そのため、少なくとも日本のIT業界は、専門知識がゼロであっても、
ある日突然専門家になれる稀有な業界だと言えるでしょう。
他業界からは知られざるIT業界の裏側です。

そして仕事である以上、「できない」では済まされないわけですので、現場に専門家として在籍する以上、否が応でも専門家並みにスキルアップすることを余儀なくされます。
このように、強引にでも仕事力が向上することもIT業界の特徴のひとつです。