WinMergeは「ファイルの違いを見るだけのツール」ではありません。
正規表現とフィルタ機能を組み合わせることで、不要な差分を除外し、実質的な変更だけに集中できます。
この記事では、
初心者でもすぐに使える「正規表現の基本」と、
上級者向けの「フィルタファイルを使った高度な差分除外テクニック」までを詳しく解説します。
🔍 正規表現を使える主な場面
機能 | 対応 | 説明 |
---|---|---|
検索・置換 | ✅ | 検索ダイアログで「正規表現を使用」にチェック |
フィルタファイル(.flt) | ✅ | 比較時に除外ルールを定義できる |
差分検出ロジック | ⚙ 一部 | 特定パターンの行を無視可能 |
🧩 よく使う正規表現例
目的 | 正規表現例 | 意味 |
---|---|---|
空行を無視 | ^\s*$ | 空白や改行のみの行を除外 |
日付を無視 | \d{4}-\d{2}-\d{2} | 例:2025-10-09 のような日付を除外 |
コメント行を無視 | ^#.* / ^\s*//.* | コメント始まりの行をスキップ |
数値部分を無視 | \d+ | 動的なIDやカウンタ値を除外 |
⚙️ WinMergeの検索で正規表現を使う方法
🔍 よく使う検索パターン集
パターン | 意味 |
---|---|
^ERROR.* | ERRORで始まる行を検索 |
TODO|FIXME | TODO または FIXME を検索 |
[A-Z]{3} | 3文字以上の大文字英単語 |
\bhttps?://[^\s]+ | URLを抽出 |
🧱 フィルタファイルとは?
WinMergeで比較時に「特定の行を無視」するための設定ファイルです。
拡張子は .flt
。
コメントや空白行、日付などのノイズを除外して、本質的な差分を見やすくできます。
🧰 フィルタファイルの作り方
① 新規作成
-
メモ帳などで新しいテキストファイルを作成
-
以下の内容を記述
項目 意味 Enable=1 フィルタ有効化 IncludeFileMask 対象ファイル(例:*.java) ExcludeRegExp 除外したい正規表現(カンマ区切りOK) -
名前をつけて保存
例:
② WinMergeに読み込ませる
-
WinMergeを起動
-
メニューで
[編集] → [フィルタを選択] をクリック -
「ファイル比較フィルタ」ダイアログで
[参照…] → 作成した .flt ファイルを選択 -
「OK」を押すと有効化完了!
これで比較時にフィルタが自動的に適用されます。
③ 効果を確認する例
比較ファイルA
比較ファイルB
通常比較では「日付が違う」と表示されますが、
次のようなフィルタを設定すれば「差分なし」になります。
→ コメントや日付行を完全に無視できるようになります!
🎯 フィルタの応用テクニック
シーン | 推奨設定例 |
---|---|
コードレビュー | コメント・空行を除外 (^//.*, ^\s*$) |
ログ比較 | タイムスタンプを除外 (\d{2}:\d{2}:\d{2}) |
設定ファイル(JSON) | 動的値を除外 ("updated_at":\s*".*") |
HTML比較 | script/styleタグ内を除外 () |
💡 複数の
.flt
ファイルを作り、用途に応じて切り替えるのがおすすめです。🧠 まとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
正規表現で柔軟に検索 | 複雑な条件でも効率的にマッチング |
フィルタファイルで差分を制御 | コメント・日付などノイズを無視 |
設定は簡単 | メモ帳で作ってWinMergeに読み込むだけ |
比較効率UP | 実質的な変更に集中できる |
🏁 結論
WinMergeの「正規表現」と「フィルタファイル」を組み合わせると、
**「無駄な差分を消して、本質だけを見る」**比較環境が作れます。
コードレビュー、ログ検証、設定差分チェックなど、
日常の比較作業を大幅に効率化してくれる強力な武器です。