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Oracle「ORA-01652: 一時セグメントを拡張できません」対処手順

Oracleデータベースで大規模なソート処理や集計を行うと、
次のようなエラーが発生することがあります。

ORA-01652: 一時セグメントを拡張できません

このエラーは、一時表領域(TEMP)の空き容量不足によって
SQL実行が中断されたことを意味します。
ここでは、その原因と具体的な対処手順をわかりやすく解説します。


⚠️ エラーの意味

「ORA-01652」は、OracleがSQL実行中に必要な一時領域を確保できなかったことを示すエラーです。
特に次のような処理で発生しやすくなります。

  • 大量データを扱う ORDER BY / GROUP BY / DISTINCT / JOIN

  • インデックス作成集計処理

  • TEMP表領域が固定サイズで、自動拡張が無効


🔍 主な原因

原因詳細
TEMP表領域の容量不足TEMPファイルのサイズが小さい
自動拡張が無効TEMPFILE の AUTOEXTEND が OFF
不要なセッションがTEMPを占有他ユーザーの大規模SQLがTEMPを使用中
SQLの非効率な実行計画インデックス未使用・結合順序の問題

🧭 対処手順

① TEMP表領域の使用状況を確認

現在の使用率を確認します。

または以下のSQLでも確認可能です。


② TEMPファイルを追加または拡張

TEMP領域が不足している場合、ファイルを追加します。

または新しいTEMPファイルを追加します。


③ 不要なセッションを確認・終了

一時領域を使い続けているセッションを確認します。

不要なセッションが確認できた場合は、管理者権限で終了します。


④ SQLをチューニングする

  • インデックスを利用する

  • 不要なDISTINCTやORDER BYを削除

  • 結合順序を見直す

  • 集計処理を段階的に分割

一時領域を減らすため、SQLの実行計画を確認します。


⑤ TEMP表領域を再作成(最終手段)

TEMPファイル破損や肥大化が疑われる場合は、
再作成を検討します。


🌟 まとめ

対処法内容
TEMP使用量確認V$TEMP_SPACE_HEADERやV$SORT_USAGEで確認
TEMP拡張ADD TEMPFILE または RESIZE
セッション整理不要なセッションをKILL
SQLチューニング実行計画の見直し
TEMP再作成最終手段として実施

📘 補足:再発防止策

  • 定期的に V$TEMP_SPACE_HEADER を監視

  • TEMP表領域は AUTOEXTEND ON を推奨

  • 大規模SQL実行前に EXPLAIN PLAN を確認

  • バッチ処理では 分割実行 を検討

Oracle:SYSDBA権限とSYSOPER権限の違いと使い分け

はじめに

Oracleデータベースの運用において、管理者権限の使い分けは非常に重要です。特に「SYSDBA」と「SYSOPER」はどちらも特別な権限として知られていますが、役割や利用シーンは異なります。本記事では、それぞれの権限の違いと、実務での適切な使い分けについて解説します。


SYSDBA権限とは

SYSDBAは、Oracleデータベースにおける最上位の管理権限です。
SYSDBAで接続すると、ユーザーは自動的にSYSスキーマとして認識され、あらゆる管理操作が可能になります。

主な操作内容

  • データベースの起動・停止(STARTUP / SHUTDOWN)

  • データベースの作成(CREATE DATABASE)

  • 完全なリカバリやバックアップ操作

  • ユーザー作成や権限付与など、すべての管理作業

  • データファイルや制御ファイルの操作

特徴:Oracle全体のフルコントロールが可能であるため、通常はDBA(データベース管理者)専用で使用されます。


SYSOPER権限とは

SYSOPERは、SYSDBAほどの強力な権限は持ちませんが、運用担当者が日常的に行う基本的な管理作業を実行できます。

主な操作内容

  • データベースの起動・停止(STARTUP / SHUTDOWN)

  • インスタンスのバックアップ・リカバリ(ただし制限あり)

  • ログファイルの管理(アーカイブログ切り替えなど)

  • データベースの作成やユーザー管理は不可

特徴
SYSOPERでは、データの中身に直接触れることはできません。あくまで運用作業の補助権限に近い立ち位置です。


SYSDBAとSYSOPERの違い(比較表)

項目SYSDBASYSOPER
データベースの起動・停止
データベース作成不可
ユーザー/権限管理不可
完全リカバリ一部可(制限あり)
アーカイブログ切り替え
データファイル/制御ファイル操作不可
データの参照・変更不可
想定される利用者DBA(管理者)運用担当者

使い分けのポイント

  • SYSDBA

    • データベースの構築、スキーマ管理、リカバリなどフル機能が必要なとき

    • DBA専用アカウントとして限定的に使用することが推奨される

  • SYSOPER

    • 運用担当者が日常業務(起動・停止、バックアップ実行など)を行うとき

    • セキュリティを強化しつつ運用を分担する際に有効


まとめ

Oracleの管理権限であるSYSDBAとSYSOPERは、似ているようで明確な役割分担があります。

  • SYSDBA = フル権限、構築・管理・リカバリの責任者用

  • SYSOPER = 制限付き権限、日常運用担当者用

セキュリティと役割分担を意識して適切に使い分けることが、安定したデータベース運用につながります。

Oracleユーザー作成時にORA-00959エラー発生!指定された表領域が存在しない場合の対処法

はじめに

Oracle Databaseでユーザーを作成する際に、以下のようなエラーが発生することがあります。

ORA-00959: tablespace 'USERS' does not exist

このエラーは、指定した表領域(tablespace)が存在しない場合に発生します。本記事では、原因の解説と実際の解決方法をまとめます。


エラーの原因

ORA-00959「指定した表領域が存在しない」 ことを意味します。

例えば以下のSQLを実行した場合を考えます。

このとき、環境に USERS という表領域が作成されていなければ、ORA-00959 が返されます。

よくある原因

  • インストール時にデフォルトの USERS 表領域が作成されなかった

  • 他の管理者が不要と判断し削除してしまった

  • マルチテナント環境(CDB/PDB)で表領域の有無が異なる


対処法

1. 既存の表領域を確認する

まずは現在存在している表領域を確認します。

 
SELECT tablespace_name FROM dba_tablespaces;

ここで USERS が表示されなければ、エラーの通り存在していないことが確認できます。


2. 表領域を作成する

存在しない場合は新たに表領域を作成します。

 
CREATE TABLESPACE USERS DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/ORCL/users01.dbf' SIZE 100M AUTOEXTEND ON NEXT 10M MAXSIZE UNLIMITED;

※ データファイルのパスは環境に応じて修正してください。


3. 既存の表領域を指定してユーザーを作成する

新しく表領域を作成せず、既存の表領域を利用する方法もあります。

 
CREATE USER testuser IDENTIFIED BY password DEFAULT TABLESPACE SYSTEM TEMPORARY TABLESPACE TEMP;

ただし、SYSTEM を業務用に利用するのは推奨されないため、専用の表領域を作成する方がベストです。


4. ユーザー作成後の権限付与

ユーザー作成が成功したら、最低限以下の権限を付与します。

 
GRANT CREATE SESSION TO testuser; GRANT CREATE TABLE TO testuser;

必要に応じて他の権限も付与してください。


まとめ

  • ORA-00959「指定した表領域が存在しない」 ことが原因

  • DBA_TABLESPACES ビューで表領域の存在を確認

  • 必要に応じて新規作成、または既存の表領域を指定する

表領域の存在を確認してからユーザー作成を行うことで、エラーを回避できます。

❓よくある質問(FAQ)

Q1. ORA-00959エラーはなぜ発生するのですか?

A. 指定した表領域(tablespace)が存在しない場合に発生します。ユーザー作成時の DEFAULT TABLESPACE に指定した名前が、データベース内に存在しないことが原因です。


Q2. 表領域が存在するかどうかを確認するには?

A. 以下のSQLで確認できます。

 
SELECT tablespace_name FROM dba_tablespaces;

ここに指定した名前が含まれていなければ、新しく表領域を作成する必要があります。


Q3. SYSTEM表領域を代わりに使っても良いですか?

A. 技術的には可能ですが推奨されません。SYSTEM はOracle内部で利用される表領域であり、業務用のオブジェクトを置くとパフォーマンスや管理に悪影響が出る可能性があります。専用の表領域を作成しましょう。


Q4. 表領域を作成するときのファイルパスはどう決めればいいですか?

A. 通常はOracleデータベースのデータファイル格納ディレクトリ(例:/u01/app/oracle/oradata/ORCL/)に置きます。環境ごとの構成ポリシーに従い、十分な容量のあるディスクを指定してください。


Q5. マルチテナント環境(CDB/PDB)でも同じ対応ですか?

A. はい。ただしCDB直下とPDB配下で表領域の有無が異なることがあります。ユーザーを作成するPDBに接続し直し、そのPDB内で表領域を確認・作成してください。