■ ORA-03113とは?
ORA-03113: end-of-file on communication channel は、Oracle クライアントとサーバ間の通信が異常終了したとき に表示される代表的なエラーです。
平たく言うと、
「通信中にいきなり回線が切れた / Oracle が応答しなくなった」 という状態。
接続断・セッション強制終了など、原因は幅広いため、切り分けのポイントが非常に重要 なエラーとなります。
■ ORA-03113 が発生する主な原因
1. Oracle インスタンスがクラッシュ / 強制停止した
もっとも多い原因です。
▼確認ポイント
2. ネットワークの不安定化・切断
クライアントと DB サーバの間のネットワークが瞬断すると発生。
VPN が切れた
ファイアウォールのタイムアウト
回線の瞬断/通信遅延
パケットロス
▼確認ポイント
サーバとの ping 値・遅延
FW・LB のセッションタイムアウト
SSH が同時に切れないか
スイッチ再起動などのネットワークイベント有無
3. タイムアウト設定(SQLNET.ORA / Firewall)の影響
長時間 SQL を実行するバッチで頻発する原因。
▼対策例
(10分に1回 keepalive を送る設定)
4. クライアントアプリ側の異常終了
▼確認ポイント
クライアントログにエラーがないか
ドライババージョン
JVM の GC が暴走していないか
5. SQL の実行中にサーバリソースが枯渇
大きなバッチ処理中に発生するケース。
PGA/UGA 枯渇
CPU / メモリ枯渇
TEMP 使用量が100%
I/O 遅延
▼確認ポイント
AWR / Statspack の負荷
v$session_wait の値
TEMP の使用量
■ ORA-03113 が出たときの切り分け手順(最速版)
迷ったら まずは Oracle サーバ側のログを先に確認 が鉄則!
【1】alert.log を確認
最初に必ず見る場所。
例:
何かしら痕跡が残っていることが多い。
【2】trace ファイル(*.trc)を確認する
内部エラーの場合はこちらに詳細。
スタックトレース
直前の SQL
ユーザセッション情報
【3】ネットワーク切断の有無を確認
FW のログ
ping のロス率
VPN 稼働状況
SSID や Wi-Fi の不安定性も対象
【4】同時刻に OS イベントが発生していないか
メモリ OOM
ディスクフル
OS 再起動
Kernel Panic
【5】クライアント側のログ確認(アプリ含む)
JVM ログ
アプリログ
ODP.NET / JDBC のエラー
■ よくあるパターン別の対策
● ケース1:長時間SQLで毎回切断される
これは Firewall / LB タイムアウトが犯人 の場合が多い。
▼対処
● ケース2:大量データ処理バッチで発生
▼対処
TEMP 表領域増設
PGA を増やす
インデックス追加など SQL チューニング
● ケース3:インスタンスが落ちた
▼対処
alert.log の内部エラーを修正
パッチ適用
メモリ/OS リソースの見直し
Oracle Support に SR 起票
■ まとめ(結論)
ORA-03113 は 「通信が突然切れた」ことを示す汎用エラー で、 原因は広いですが、必ず次のどれかに分類できます。
Oracle インスタンスの異常
ネットワークの遮断
タイムアウト設定の問題
クライアントの異常終了
サーバリソース不足
迷ったら alert.log → ネットワーク → クライアント の順に切り分ければ最短で原因にたどり着けます。
Oracleデータベースを扱う中で、開発者や運用担当者が最も遭遇しやすいエラーのひとつが「ORA-00942: 表またはビューが存在しません」 です。
本記事では、発生原因と具体的な解決策をわかりやすく解説します。
✅ ORA-00942とは?
SQLで参照したテーブルまたはビューが見つからないときに発生するエラーです。 主に DML(SELECT / INSERT / UPDATE / DELETE)実行時に発生します。
✅ 主な発生原因
原因 説明
テーブル名・ビュー名の誤字 タイプミス、大小文字の不一致
スキーマ名を指定していない schema.table が必要なのに table だけ記述
オブジェクトが存在しない 作成前、削除済み、まだコミットされていない
権限不足 SELECT権限などが付与されていない
PUBLIC SYNONYMが無い/壊れている シノニム経由アクセス失敗
参照先データベースリンクが不正 DBリンク先にオブジェクトが存在しない
✅ 代表的な発生例と解決策
① テーブル名の誤字
対策 スペルを確認し、USER_TABLES や ALL_TABLES で存在確認。
② スキーマ指定漏れ
本当は他スキーマのテーブル:
対策 必要に応じてスキーマ名を付けて記述。
③ 権限不足
権限が無い場合、テーブルが存在していても参照できません。
✅ 権限付与例(管理者実行)
④ シノニム問題
シノニム経由で参照する場合:
対策
壊れていれば再作成。
⑤ コミット忘れ
セッションAで作成 → セッションBから参照、未コミットの場合
対策 テーブル作成後は COMMIT;
✅ 原因の切り分け手順(チェックリスト)
チェック項目 コマンド / 方法
テーブルが存在するか SELECT table_name FROM user_tables;
他スキーマか SELECT owner, table_name FROM all_tables;
権限があるか SELECT * FROM user_tab_privs;
シノニム確認 SELECT * FROM all_synonyms;
大文字小文字 SQL識別子は大文字扱い、""付きは注意
✅ よくある落とし穴
✅ まとめ
要点 内容
エラー原因 オブジェクトなし・スキーマ指定漏れ・権限不足
解決方法 テーブル存在確認、権限確認、スキーマ明記
コツ user_tables / all_tables で確認
Oracleはスキーマ管理と権限管理が厳密なため、「テーブルが本当に存在するか」「アクセス権があるか」 が重要です。
✅ 例:実務での対応テンプレ
■ 発生時に実施する確認
SQLを確認(スペル・スキーマ)
ALL_TABLESで存在確認
権限を確認
必要に応じて GRANT 実施
この手順を覚えておけば、ほぼ解決できます。
💬 最後に
Oracleの権限周りは慣れるまで少し難しいですが、 このエラーは落ち着いて確認すれば必ず解決できます。
記事が役に立ったら、ぜひシェアやブックマークをお願いします!
Oracle Database を利用していると、ログイン時に「ORA-28001: パスワードの有効期限が切れています」 というエラーに遭遇することがあります。
これは、データベースのセキュリティ機能として「パスワード有効期限」が設定されており、期限を過ぎたユーザがログインできなくなるために発生します。
この場合のエラーの原因と具体的な対応手順を解説します。
エラーの原因
Oracle データベースでは、ユーザごとに割り当てられた プロファイル(Profile) により、パスワード有効期限が管理されています。
典型的な原因は以下の通りです。
対応手順
1. SQL*Plus などからログインを試みる
期限切れの場合、通常のユーザではログインできません。DBA 権限を持つユーザ (例: sys as sysdba)でログインする必要があります。
2. パスワードをリセットする
対象ユーザのパスワードを変更します。
ALTER USER SCOTT IDENTIFIED BY Tiger2025;
これでユーザは再びログインできるようになります。
3. パスワード有効期限を確認する
どのプロファイルが割り当てられているかを確認します。
SELECT username, profile FROM dba_users WHERE username='SCOTT' ;
次に、そのプロファイルの設定を確認します。
4. パスワード期限を延長・無効化する(必要に応じて)
運用上パスワード期限を無期限にしたい場合は、以下のように設定します。
注意点
セキュリティポリシー上、期限を無期限にするのは推奨されない場合があります。
運用規定に従い、定期的に強度の高いパスワードへ更新しましょう。
本番環境では、DBA以外のアカウントで誤って変更しないよう注意が必要です。
まとめ
「ORA-28001: パスワードの有効期限が切れています」は、パスワードの期限切れによるエラーです。
DBA権限でログイン
パスワード変更
プロファイル確認と調整
この流れで対応すれば、迅速に復旧できます。運用に合わせてパスワード有効期限の設定を見直すことも重要です。
はじめに
Oracleデータベースの運用において、管理者権限 の使い分けは非常に重要です。特に「SYSDBA」と「SYSOPER」はどちらも特別な権限として知られていますが、役割や利用シーンは異なります。本記事では、それぞれの権限の違いと、実務での適切な使い分けについて解説します。
SYSDBA権限とは
SYSDBAは、Oracleデータベースにおける最上位の管理権限 です。 SYSDBAで接続すると、ユーザーは自動的にSYSスキーマとして認識され、あらゆる管理操作が可能になります。
主な操作内容
特徴 :Oracle全体のフルコントロールが可能であるため、通常はDBA(データベース管理者)専用 で使用されます。
SYSOPER権限とは
SYSOPERは、SYSDBAほどの強力な権限は持ちませんが、運用担当者が日常的に行う基本的な管理作業 を実行できます。
主な操作内容
特徴 : SYSOPERでは、データの中身に直接触れることはできません。あくまで運用作業の補助権限 に近い立ち位置です。
SYSDBAとSYSOPERの違い(比較表)
項目 SYSDBA SYSOPER
データベースの起動・停止 可 可
データベース作成 可 不可
ユーザー/権限管理 可 不可
完全リカバリ 可 一部可(制限あり)
アーカイブログ切り替え 可 可
データファイル/制御ファイル操作 可 不可
データの参照・変更 可 不可
想定される利用者 DBA(管理者) 運用担当者
使い分けのポイント
まとめ
Oracleの管理権限であるSYSDBAとSYSOPERは、似ているようで明確な役割分担があります。
セキュリティと役割分担を意識して適切に使い分けることが、安定したデータベース運用につながります。
Oracle 初期パスワードとは?
Oracle 初期パスワードを確認したい/変更したい場合、多くのバージョンで仕様が異なるため注意が必要です。この記事では Oracle の初期アカウント(SYS・SYSTEM)について、パスワードの扱いと安全な運用方法を解説します。
SYSユーザーのデフォルトパスワード:change_on_install
SYSTEMユーザーのデフォルトパスワード:manager
Oracle:管理者ユーザー「SYS」と「SYSTEM」のデフォルトパスワード
ユーザー 初期パスワード例 備考
SYS change_on_install データディクショナリを管理する最上位アカウント
SYSTEM manager 一般的な管理作業に使用可能な補助アカウント
セキュリティ上の注意点
変更必須
デフォルトのままでは外部からの攻撃に悪用されやすいため、必ずパスワード変更 を行うこと。
Oracleのインストール後にSQL*Plusなどでユーザー作成しようとした際、「ORA-65096」エラーが発生した場合の原因と対応方法についてメモしておきます。
「ORA-65096:共通ユーザーまたはロール名が無効です」の原因
ルートコンテナにローカルユーザーを作成しようとした場合に発生するエラーとなります。 ルートコンテナには共有ユーザー(common user) と呼ばれる特殊なユーザーしか作成することはできません。 Oracle 11gまでと違いOracle 12c以降からは一つのインスタンスには一つのコンテナ・データベース(CDB)と、プラガブル・データベース(PDB)と呼ばれる子DBが存在しています。sysなどのユーザーでログイン直後はコンテナ・データベース(CDB)に接続されている状態となっているため、そのままローカルユーザーを作成しようとしてもエラーが発生してしまうということになります。
「ORA-65096:共通ユーザーまたはロール名が無効です」の対処方法
原因が分かってしまえば対応はシンプルです。接続先がコンテナ・データベース(CDB)であるのがまずいのであればプラガブル・データベース(PDB)に変更してしまえばいいだけです。
まずは「show con_name;」で現在接続されているデータベースを確認します。
次に「select name, open_mode from v$pdbs;」でPDBの名前と現在のOPEN_MODEを確認します。
PDBの名前が「ORCLPDB」というのがわかったのでデータベースの接続先を「ORCLPDB」へ変更します。
もう一度「show con_name;」を実行して接続先が変更されていることを確認します。
接続先がPDBへ変更されたのでもう一度ユーザー作成を実行すると正常に実行されます。
🔍補足:ORA-65096エラーの仕組みと注意点
ORA-65096: invalid common user or role name は、マルチテナント構成の Oracle Database(12c以降) において、ルートコンテナ(CDB$ROOT)上でローカルユーザーを作成しようとした場合 に発生するエラーです。 以下のポイントを押さえておくと、再発を防ぎやすくなります。
観点
内容
エラーの本質
共通ユーザーとローカルユーザーの区別を誤ったことによる構文エラー
共通ユーザー名の規則
C## または c## のプレフィックスが必須(COMMON_USER_PREFIXパラメータで変更可)
発生条件
CDB$ROOT に接続したままユーザーを作成/命名規則を満たさない場合
解決策
ALTER SESSION SET CONTAINER = <PDB名> でPDBに切り替えてから CREATE USER を実行する
参考
SHOW CON_NAME; で現在の接続先(コンテナ)を確認可能
✅ 具体例:安全なユーザー作成手順
もしルートコンテナ側で共通ユーザーを作成したい場合は、以下のようにします。
💡補足メモ
SHOW PDBS; で現在のPDB一覧を確認可能。OPEN_MODE が READ WRITE でなければユーザー作成はできません。
バージョン19c以降では、CDB構成がデフォルトのため、PDB接続の意識が必須 です。
TNS接続文字列(SERVICE_NAME)が CDB を指していると、意図せずルート側に接続してしまうことがあります。
「駑馬十駕」を信念に IT系情報を中心に調べた事をコツコツ綴っています。