「SQL」タグアーカイブ

SQL:実行計画(EXPLAIN PLAN)の読み方とボトルネックの見つけ方

データベースチューニングにおいて「どのSQLが遅いのか」だけでなく、「どの処理がボトルネックなのか」を正しく把握することは非常に重要です。
そのための基本ツールが**実行計画(EXPLAIN PLAN)**です。

本記事では、Oracleを例に実行計画の見方とボトルネックの探し方を、初心者でも理解できるように解説します。


✅ EXPLAIN PLANとは?

SQLを実行する際、Oracleが内部的に考える**最適な実行手順(アクセス方法)**を表示する機能です。

実行計画を見ることで、次のようなことがわかります。

  • テーブルにアクセスする順番

  • インデックスを使っているかどうか

  • 結合(JOIN)の方式

  • フルスキャンが走っているか

  • コスト(予測負荷)


✅ 実行計画の取得方法

▼ 方法1:EXPLAIN PLAN文を使う

▼ 方法2:SQL Developer で「実行計画」ボタン

GUI環境ではワンクリックで参照できます。


✅ Oracle実行計画の基本構造

実行計画は階層構造で、上から順に処理が行われます。
インデントが深いほど「その処理の中で実行される詳細処理」です。

例:


✅ よく出るOperationと解釈ポイント

Operation説明見どころ
TABLE ACCESS FULLテーブルの全件スキャン大量データで出たら要注意
TABLE ACCESS BY INDEX ROWIDインデックス参照後にROWIDアクセス最適パターンの一つ
INDEX UNIQUE SCAN主キー・ユニークインデックス検索高速
INDEX RANGE SCAN範囲検索効率的だが条件次第
HASH JOINハッシュ表でJOIN大量データ向き、メモリ消費
NESTED LOOPS小規模データに適したJOIN結合相手の行数が多いと遅い
SORT ORDER BY並び替え必要ならOK、無駄がないか確認

✅ ボトルネックの探し方

① TABLE ACCESS FULL に注意

  • 条件にインデックスが効いていない可能性

  • 大規模テーブルで特に危険

対策:

  • WHERE句に使う列にインデックス追加

  • 不必要なSELECT *を避ける

  • ファンクションインデックス


② JOIN方式を確認

JOIN方式特徴適したケース
NESTED LOOPS小テーブル to 大テーブルに◎OLTP向き
HASH JOIN大量データ向き、高速DWH向き
MERGE JOIN並び替え前提、ソート負荷ソート後結合

Nested Loops × 大量データ → 遅い可能性


③ コスト(COST)とROWSを確認

項目意味
ROWS見積もられる行数
COSTOracleが見積もる負荷指数
BYTESデータ量

COSTが極端に高い行がボトルネック候補。


④ SORTが多い場合

ORDER BY や DISTINCTが多いと遅くなる

対策:

  • 必要な場面以外でDISTINCT使用しない

  • ORDER BYの列にインデックス


✅ 実例:遅いSQLの典型パターン

問題点

  • UPPER(ENAME) → 関数でインデックス無効

  • LIKE ‘%〇〇’ → 前方ワイルドカードでインデックス無効

  • SELECT * → 不要な列読み込み

改善例


✅ チューニングの基本手順まとめ

ステップ内容
1実行計画を見る
2TABLE FULL SCANをチェック
3JOIN方法確認(Nested Loops vs Hash Join)
4コスト高い箇所を特定
5インデックス/SQL修正

✅ まとめ

  • EXPLAIN PLANはSQLの動作設計図

  • インデックス利用とJOIN方式を重視

  • FULL SCANと高コスト行は警戒

  • 必要な列だけ取得し、関数利用に注意

SQLチューニングは**「まず実行計画を見る」**がスタートです。
慣れるほど読み解きが早くなり、効率的な分析ができるようになります。

インデックスの仕組みを理解してSQLを劇的に高速化する方法

SQLの処理が遅いと感じたとき、多くの人が「サーバが遅いのでは?」と思いがちです。
しかし、実際の原因の多くは「インデックス(索引)」の使い方にあります。
この記事では、インデックスの基本構造から、実際のチューニング手法までを体系的に解説します。


1. インデックスとは?

インデックスとは、データベースが**検索を高速化するために作成する“索引”**のことです。
書籍の巻末索引のように、「この値はどこにあるか」を素早く見つけるための目次のような仕組みです。

🔹 例:インデックスなしの検索

このとき、インデックスが無ければ、データベースは全件を1件ずつ確認します(フルスキャン)。

🔹 例:インデックスありの検索

これにより、該当レコードを索引経由で一瞬で特定できるようになります。


2. インデックスの仕組みを理解する

🧩 B-treeインデックス

ほとんどのRDBMS(Oracle、MySQL、PostgreSQLなど)で採用されている構造です。
値が昇順に整理され、2分探索のように効率的に検索できます。

例えば「70」を探すとき、50より大きいので右に進み、次に70を発見します。
わずか2ステップで到達できるため、フルスキャンに比べて圧倒的に速いのです。


🧩 ビットマップインデックス(Oracleなど)

主に**値の種類が少ないカラム(性別、ステータスなど)**に有効です。
各値に対応するレコードのビットマップを管理することで、AND/OR検索が高速化します。


3. どんなカラムにインデックスを貼るべきか?

✅ 有効なケース

  • WHERE句で頻繁に検索される列

  • JOIN条件に使われる列

  • ORDER BYGROUP BYの対象列

  • 外部キー(FOREIGN KEY)列

🚫 不向きなケース

  • データ件数が極端に少ない列(例:性別など)

  • 更新頻度が高い列(INSERT/UPDATEが多いと再構築コストが増大)

  • テーブル全件を常に取得するクエリ


4. 実行計画で確認する

SQLの速度改善は、**「インデックスが使われているか」**を確認することが第一歩です。

結果例(MySQLの場合)

typekeyrowsExtra
refidx_users_email1Using index

「Using index」と表示されていれば、インデックスが利用されています。
逆に「ALL」となっている場合はフルスキャンです。


5. インデックスを使った高速化テクニック

🌟 複合インデックス(複数列)

複数の列を組み合わせた検索で効果を発揮します。
ただし、先頭の列が条件に含まれないと使われない点に注意が必要です。

例:


🌟 カバリングインデックス(Covering Index)

インデックスに必要な列すべてを含めることで、テーブルアクセスをスキップできます。

テーブルを参照せずにインデックスだけで完結するため、極めて高速です。


🌟 LIKE検索の最適化

前方一致(Yui%)はインデックスが有効ですが、

のような部分一致はインデックス無効です。
対策としては、**全文検索エンジン(MySQLのFULLTEXT、PostgreSQLのGIN/GiST)**を使う方法があります。


6. 注意点:インデックスの弊害

インデックスは便利ですが、万能ではありません。
特に以下の点には注意が必要です。

リスク説明
更新コスト増大INSERTやUPDATE時にインデックスも更新されるため、処理が重くなる
ストレージ消費大規模テーブルに多くのインデックスを張ると、容量が急増
メンテナンス負荷不要なインデックスを放置すると、統計情報がずれて性能が劣化

🧹 定期的に ANALYZE TABLEREBUILD INDEX を実施して、統計情報を更新しましょう。


7. 実践チューニング例

✏️ 例1:検索が遅いクエリ

🩹 改善策

✅ 実行計画の変化

  • 変更前:type = ALL(フルスキャン)

  • 変更後:type = ref(インデックス参照)

実行時間が数秒 → 数ミリ秒まで短縮されることもあります。


まとめ

ポイント内容
インデックスとはデータ検索を高速化するための“索引”
構造B-treeが主流。ビットマップは限定用途
効果的な付与検索条件、JOIN、GROUP BY、ORDER BY列
落とし穴更新負荷、容量増加、部分一致非対応
確認方法EXPLAINで実行計画を必ずチェック

🚀 結論

インデックスを理解すれば、SQLの速度は10倍以上高速化することも珍しくありません。
なんとなく作るのではなく、「どう検索されるか」を意識して設計することが重要です。

SQL:MERGE文でINSERTとUPDATEを一度に行う効率的な方法

MERGE文とは?

SQLのMERGE文は、対象テーブルにデータが存在する場合はUPDATE、存在しない場合はINSERTを1回の処理でまとめて行える便利な構文です。
従来は「UPDATE → 該当しなければINSERT」といった2回の処理が必要でしたが、MERGEを使うことで1回のSQLで済むため、処理効率やパフォーマンスが向上します。

本記事ではOracleをベースに解説しつつ、他DBでの対応についても補足します。


MERGE文の基本構文(Oracleの場合)



実用例①:顧客マスタの更新 or 追加

ID=C001 が存在すれば更新
✅ 存在しなければ新規追加


処理の流れ(フロー図で理解)


応用例②:条件によってDELETEも行う(Oracle/SQL Server対応)

✅ ステータスがCANCELなら削除
✅ そうでなければ更新
✅ 該当なしならINSERT


MERGE文のメリット

項目従来方法MERGE文
SQL実行回数UPDATEとINSERTの2回1回
パフォーマンスやや低い高い
ロジックの明確さ分岐が必要条件分が整理されやすい
メンテナンス性低め高い

注意点

注意点内容
ロックの影響大量データの場合、テーブルロックが発生しやすい
複雑な条件WHEN句が増えると可読性が下がる
DB依存性MySQLは8.0.19以降、PostgreSQLはINSERT ... ON CONFLICTで代替

他DBでの補足

DBMERGE対応備考
Oracle対応本記事基準
SQL Server対応ほぼ同構文
MySQL8.0.19~対応REPLACE/INSERT ON DUPLICATEも可
PostgreSQL15~対応それ以前はINSERT ON CONFLICT

まとめ

✅ MERGE文はINSERTとUPDATEを1回の処理にまとめる強力なSQL構文
✅ DELETEも組み合わせれば高度なロジックも実現可能
✅ Oracle・SQL Serverでは標準的に使用される
✅ MySQL/PostgreSQLではバージョン確認が必要

「同じキーのデータを更新 or 追加したい」場面で積極的に使いましょう!

SQL:インデックスヒント(INDEX HINT)でクエリ最適化を行う方法

1. インデックスヒントとは?

SQLの**インデックスヒント(INDEX HINT)**とは、データベースに対して「このテーブルでは特定のインデックスを使用して実行してほしい」と明示的に指示するための構文です。
通常、DBエンジン(オプティマイザ)が自動で最適な実行計画を選びますが、統計情報が古い・複雑な条件句などの場合に誤ったインデックスを選ぶことがあります。

そのようなとき、開発者が明示的にインデックスを指定して最適化を誘導するのがINDEX HINTの目的です。


2. 一般的な書き方

Oracleの場合

MySQLの場合

SQL Serverの場合

データベースヒント指定方法備考
Oracle/*+ INDEX(テーブル名 インデックス名) */ヒント句はコメント形式
MySQLUSE INDEX (インデックス名)FORCE INDEX / IGNORE INDEX も可
SQL ServerWITH (INDEX(インデックス名))テーブルヒントとして指定

3. MySQLにおけるINDEX HINTの種類

種類意味使用例
USE INDEX指定したインデックスを優先的に使用USE INDEX (idx_col1)
FORCE INDEX指定インデックスを強制的に使用FORCE INDEX (idx_col1)
IGNORE INDEX指定インデックスを無視して検索IGNORE INDEX (idx_col1)

4. 実行計画を確認する

インデックスヒントを付与したら、実際に利用されているかを確認することが重要です。

MySQL

Oracle


チェック項目内容
key列(MySQL)使用されたインデックス名
access path(Oracle)INDEX RANGE SCAN などが表示される
実行コストコストが下がっているか確認

5. 使用上の注意点

注意点内容
1. 過信しないヒントは一時的なチューニングであり、将来的な統計情報変化で逆効果になることも。
2. 実行計画を常に確認ヒント適用後は EXPLAIN で確認すること。
3. SQL互換性に注意各DBMSで構文が異なるため、移植性が下がる。
4. ヒント指定よりも統計情報更新が基本統計情報を更新することで自動最適化が正しく働くことも多い。

6. 実用例:複合インデックスを明示的に使用

以下のように複数条件を持つ検索で、DBが誤ったインデックスを選ぶ場合に有効です。

このように、複合インデックスの指定順序に合わせてヒントを指定することで、不要な全件スキャンを防ぐことができます。


7. まとめ

ポイント内容
自動最適化が基本まずはDBエンジンに任せるのが原則
ヒントは最終手段特定クエリで誤選択時のみ使用
EXPLAINで検証効果を数値で確認
統計情報更新も忘れずにオプティマイザの精度を保つために重要

SQL:ウィンドウ関数(OVER句)でランキング・累計を計算する

データ分析やレポート作成では、「順位付け」「累計」 のような集計処理がよく登場します。
従来はサブクエリや自己結合を使う必要がありましたが、SQLの ウィンドウ関数(OVER句) を使えば簡潔に記述できます。
この記事では、代表的な使い方と主要DBMSごとの対応状況をサンプル付きで解説します。


🧠 ウィンドウ関数とは?

ウィンドウ関数とは、集計関数に対して「範囲(ウィンドウ)」を指定できる機能です。
通常の SUM()AVG() はグループ全体を集計しますが、OVER() を使うことで「行単位の集計」も可能になります。

🔸 基本構文

関数名(列名) OVER (PARTITION BY 列名 ORDER BY 列名)
役割
PARTITION BYグループを分ける(省略可)
ORDER BY並び順を指定
ROWS BETWEEN ~範囲を細かく指定(任意)

🏅 ランキングを求める

商品の売上データを例に、売上額で順位をつけます。

📘 サンプルテーブル:sales

productcategoryamount
A飲料300
B飲料500
C食品400
D食品200
E食品700

📗 SQL例

📊 実行結果

categoryproductamountrank
飲料B5001
飲料A3002
食品E7001
食品C4002
食品D2003

ポイント

  • 同じカテゴリ内で順位を付与 (PARTITION BY category)

  • 売上が高い順に並び替え (ORDER BY amount DESC)

  • RANK() は同順位がある場合にスキップ(例:1位,1位,3位)


🔢 累計を求める

カテゴリ別に売上の累計を出してみましょう。

📗 SQL例

📊 結果

categoryproductamountrunning_total
飲料B500500
飲料A300800
食品E700700
食品C4001100
食品D2001300

ポイント

  • SUM()OVER() を組み合わせることで行ごとの累積が可能

  • ORDER BY により順序を指定できる

  • PARTITION BY を省略すると全体累計に


🧮 他の代表的なウィンドウ関数

関数説明
ROW_NUMBER()連番(重複なし)を付与
RANK()同順位があるとスキップ(例:1,1,3)
DENSE_RANK()同順位があっても連続(例:1,1,2)
NTILE(n)n等分にグループ分け(例:四分位)
LAG(col, n)n行前の値を取得
LEAD(col, n)n行後の値を取得
SUM(), AVG(), MAX(), MIN()累計・平均などの集計を行単位で

💡 応用例:前回比を計算する

前回の売上からの増減を求めたい場合は LAG() 関数を使用します。



FROM sales;
categoryproductamountprev_amountdiff
飲料B500NULLNULL
飲料A300500-200
食品E700NULLNULL
食品C400700-300
食品D200400-200

🧭 DBMS別のウィンドウ関数対応表

DBMS対応状況対応バージョン備考
Oracle Database◎ 完全対応8i 以降ウィンドウ関数発祥の実装。機能最も豊富
PostgreSQL◎ 完全対応8.4 以降PARTITION, ORDER, RANGE句など全対応
MySQL○ 部分対応8.0 以降8.0から正式対応(それ以前は非対応)
SQL Server◎ 完全対応2012 以降LAG/LEADなどもサポート
SQLite○ 部分対応3.25 以降一部関数は制限あり(NTILEなど)
MariaDB△ 限定対応10.2 以降SUMなどは対応、LAG/LEADは制限あり
IBM Db2◎ 完全対応9.7 以降分析関数として強力なサポートあり
Snowflake / BigQuery◎ 完全対応最新クラウドDWH系でもネイティブ対応

補足

  • 旧バージョンのMySQL(5.x系)ではウィンドウ関数が非対応のため、サブクエリで代替が必要。

  • PostgreSQLとOracleはROWS BETWEENなどの範囲指定も細かく制御可能。

  • BigQueryはOVER()句のほかQUALIFY句でフィルタリングが可能。


🔍 まとめ

観点内容
機能グループ単位での行ごとの集計・順位付け
主な用途累計・ランキング・前回比・順位比較
メリットサブクエリ不要・可読性向上・パフォーマンス改善
対応DBOracle, PostgreSQL, SQL Server, MySQL 8+, BigQueryなど

ウィンドウ関数は、分析SQLの最重要機能といっても過言ではありません。
集計・比較・順位などを自在に扱えるようになれば、レポート作成の幅が大きく広がります。

🧩 Oracle「ORA-01000: 最大オープン・カーソル数を超えました」対処手順

🔍 エラー概要

項目内容
エラーコードORA-01000
メッセージ最大オープン・カーソル数を超えました
発生原因開いたカーソルをクローズせずに処理を繰り返した結果、open_cursors の上限に達した
対応優先度高(アプリケーション修正・設定見直しが必要)

🧠 原因と仕組み

Oracle では、SQL 実行時に「カーソル」という内部ハンドルを使用して SQL 文を管理します。
アプリケーションが PreparedStatementResultSet を閉じずに再利用し続けると、未解放のカーソルが蓄積し、open_cursors パラメータで設定された上限値を超えた時点で ORA-01000 が発生します。


🧩 よくある原因パターン

原因詳細
JDBCのクローズ漏れResultSet や Statement を close() していない
ループ内で毎回 SQL を preparePreparedStatement を都度生成して再利用していない
コネクションプールの設定ミスコネクションが正しく解放されず、カーソルが残存
長時間実行バッチ同一セッションで大量SQLを連続実行してカーソルが累積
外部ライブラリのバグORM(MyBatis、Hibernate等)でのカーソル管理不具合

🧭 対処法(順序付き)

手順対処内容
アプリケーションコードを点検(ResultSet, Statement, Connection を確実に close)
try-with-resources 構文を使用して自動クローズ化(Java7以降推奨)
open_cursors パラメータ値を確認(show parameter open_cursors;)
必要に応じて上限を引き上げ(例:ALTER SYSTEM SET open_cursors = 1000 SCOPE=BOTH;)
v$open_cursor ビューで調査(どのSQLが残っているか確認)

🔧 調査SQL例 


💡 Javaでの修正例(try-with-resources構文)

✅ これにより、ResultSetPreparedStatementConnection が自動的にクローズされます。


⚙️ open_cursors の推奨設定値

システム規模推奨値備考
開発・検証環境300〜500検証負荷に応じて柔軟に設定
小〜中規模業務システム500〜1000通常アプリでは十分
大規模バッチ・Webサービス1000〜2000コネクションプール利用時に余裕をもたせる

🚨 注意点

  • open_cursors の値を単純に上げるだけでは根本解決になりません。
    アプリケーションでのクローズ処理修正が最優先

  • 定期的に v$open_cursor を監視することで、リークを早期発見できます。


✅ まとめ

観点内容
発生原因カーソルの未クローズや過剰生成
一時対応open_cursors の増加
根本対応コード修正(try-with-resources等)
チェック方法v$open_cursor / v$sesstat ビュー
再発防止コーディング規約・静的解析の導入

SQL:NOT IN と NOT EXISTS の違いとパフォーマンス比較

SQLでサブクエリを使って除外条件を指定する際に利用される「NOT IN」と「NOT EXISTS」。両者の動作の違いやNULLの扱い、パフォーマンス差を実例付きで徹底解説します。

EXISTSANSI SQL(国際標準SQL)に含まれる構文 のため、
ほぼすべてのリレーショナルデータベースで利用できます。
古いバージョンの一部DBを除き、標準構文として移植性が非常に高いのが特徴です。

1. NOT IN と NOT EXISTS の基本構文

構文例説明
NOT INSELECT * FROM A WHERE ID NOT IN (SELECT ID FROM B);サブクエリの結果に含まれないIDを抽出
NOT EXISTSSELECT * FROM A WHERE NOT EXISTS (SELECT 1 FROM B WHERE A.ID = B.ID);Bに同じIDが存在しない場合のみAを取得

ポイント:

  • 両者とも「除外」目的だが、評価タイミングとNULL処理が異なる。


2. 動作の違い(NULLの扱いに注目)

条件NOT INの結果NOT EXISTSの結果
サブクエリにNULLが含まれるすべての行が除外される正常に比較できる
サブクエリが空(0件)全件取得される全件取得される

理由:
NOT IN は内部的に「A.ID <> B.ID」を繰り返すような処理を行うため、NULLが含まれると比較結果がUNKNOWNとなり、全体が評価されなくなる。
一方、NOT EXISTS行ごとに存在チェックを行うため、NULLの影響を受けない。


3. 実行結果の比較例

以下の例を見てみましょう。

テーブルA

ID NAME
1 田中
2 鈴木
3 佐藤

テーブルB

ID
1
NULL

4. パフォーマンスの違い

比較項目NOT INNOT EXISTS
NULLの影響受ける受けない
実行計画(最適化)インデックス利用されにくい場合あり最適化されやすい
大量データ時の効率遅くなるケースありより安定して高速
Oracleの最適化傾向半結合(Anti-Join)に変換されることあり同様に最適化される

実測例(概略)

件数NOT IN所要時間NOT EXISTS所要時間
1万件0.25秒0.20秒
10万件3.1秒1.8秒

※ 実測環境:Oracle 19c、インデックスあり、CPU 4コア相当


5. どちらを使うべきか

条件推奨句
サブクエリにNULLが含まれる可能性ありNOT EXISTS
データが小規模でNULLなしどちらでも可
大規模データ・実行計画を重視NOT EXISTS(推奨)
可読性を優先NOT EXISTS のほうが誤動作が少ない

6. まとめ

観点内容
ANSI SQL対応○(どのDBでも使用可能)
実行パフォーマンスDBごとに最適化される(MySQL 8以降で特に改善)
推奨度高い(NOT INより安全で移植性が高い)
注意点MySQL 5.x 以前では最適化が弱いケースがある

✔ 結論:
除外条件を指定する場合は、基本的に「NOT EXISTS」を使う方が安全で高速です。
ただし、NULLが確実に存在しないことが保証される小規模データではNOT INも選択肢になります。

Oracle「ORA-06502: PL/SQL 数値または値エラー」エラーが出た時の解決方法

Oracle データベースを利用していると、**「ORA-06502: PL/SQL: 数値または値エラー」**というエラーに遭遇することがあります。これは比較的よく見られるエラーの一つで、主に「データ型の不一致」や「文字列長の超過」が原因です。この記事では、このエラーの代表的な原因と解決方法を解説します。


ORA-06502 エラーの意味

エラーメッセージ全文は以下のようになります。

 
ORA-06502: PL/SQL: 数値または値エラー

このエラーは、PL/SQL 実行時に「値が期待されるデータ型に収まらない」場合に発生します。例えば以下のケースです。

  • 数値型の変数に、文字列を代入しようとした場合

  • VARCHAR2 の長さ制限を超える文字列を代入した場合

  • 型変換関数(TO_NUMBER, TO_DATE など)が失敗した場合


よくある原因と解決方法

1. 文字列長の超過

DECLARE
  v_date DATE;
BEGIN
  v_date := TO_DATE('2025-13-01', 'YYYY-MM-DD'); -- 13月は存在しない
END;

原因: 変数 VARCHAR2(5) に 6文字を代入している。

解決方法: 変数の長さを見直す、あるいは SUBSTR を利用して長さを調整する。

v_text := SUBSTR('abcdef', 1, 5);

2. 数値変換エラー

DECLARE
  v_num NUMBER;
BEGIN
  v_num := TO_NUMBER('ABC'); -- 数値に変換できない
END;

原因: 数値に変換できない文字列を渡している。

解決方法: 入力値が数値かどうかを事前にチェックする。正規表現を利用するのも有効です。

 
IF REGEXP_LIKE('123', '^[0-9]+$') THEN v_num := TO_NUMBER('123'); END IF;

3. 不正な日付変換

DECLARE
  v_num NUMBER;
BEGIN
  v_num := TO_NUMBER('ABC'); -- 数値に変換できない
END;

原因: 存在しない日付を変換しようとした。
解決方法: 入力フォーマットをチェックし、妥当な値のみ渡す。


4. 数値桁数のオーバーフロー

DECLARE
  v_num NUMBER(5,2);
BEGIN
  v_num := 12345.67; -- 桁数制限を超過
END;

原因: 定義した精度・スケールを超える値を代入している。

解決方法: NUMBER の定義を見直す、または値を丸める。


トラブルシューティングのポイント

  • エラー発生時の 変数定義 を確認する

  • DBMS_OUTPUT.PUT_LINE代入しようとしている値 を出力する

  • データベースの カラム定義と変数定義の不一致 を確認する

  • 外部入力(CSV など)を扱う場合は 入力データの妥当性チェック を行う


まとめ

「ORA-06502」エラーは、ほとんどの場合 データ型の不一致値の範囲超過 が原因です。
再発防止のためには以下が重要です。

  • 変数やカラムの定義を余裕を持たせて設計する

  • 入力値チェックを徹底する

  • デバッグ時に DBMS_OUTPUT を活用して値を追跡する

これらを意識することで、エラーを効率的に解消できるはずです。

SQL便利技:PIVOTとUNPIVOTで自由自在に表を変換する方法

SQLを使ってデータを扱うとき、表の形を「横持ち」や「縦持ち」に変換したい場面は多々あります。
例えば、月ごとの売上を列ごとに並べたい、あるいはアンケート結果を1列にまとめたいなど。

こうした「表の回転」に便利なのが PIVOTUNPIVOT です。
本記事では、それぞれの使い方と、主要なDBMSごとの違いを整理します。


PIVOTとは?

PIVOTは 縦持ちデータを横持ちに変換する 機能です。
例:月ごとの売上を集計して列化する。

サンプルデータ
商品売上
A1月100
A2月150
B1月200
B2月180

PIVOTのイメージ

商品1月売上2月売上
A100150
B200180


UNPIVOTとは?

UNPIVOTは 横持ちデータを縦持ちに変換する 機能です。
例:上記の「商品×月売上表」を再び「商品・月・売上」の縦持ちに戻す。


各DBMSでの書き方比較

1. SQL Server

SQL Serverはネイティブで PIVOT / UNPIVOT をサポート。

 
-- PIVOT
SELECT 商品, [1月] AS 売上1月, [2月] AS 売上2月
FROM (
  SELECT 商品, 月, 売上
  FROM Sales
) AS src
PIVOT (
  SUM(売上) FOR 月 IN ([1月], [2月])
) AS pvt;

-- UNPIVOT
SELECT 商品, 月, 売上
FROM SalesPivot
UNPIVOT (
  売上 FOR 月 IN ([1月売上], [2月売上])
) AS unpvt;

2. Oracle

Oracleは PIVOT / UNPIVOT が標準で利用可能。

-- PIVOT
SELECT *
FROM Sales
PIVOT (
  SUM(売上) FOR 月 IN ('1月' AS "売上1月", '2月' AS "売上2月")
);
-- UNPIVOT
SELECT 商品, 月, 売上
FROM SalesPivot
UNPIVOT (
  売上 FOR 月 IN (売上1月 AS '1月', 売上2月 AS '2月')
);

3. PostgreSQL

PostgreSQLはPIVOT句を持たないため、crosstab関数(tablefunc拡張) を使う。

-- PIVOT (crosstab)
SELECT *
FROM crosstab(
  'SELECT 商品, 月, 売上 FROM sales ORDER BY 1,2',
  'SELECT DISTINCT 月 FROM sales ORDER BY 1'
) AS ct(商品 text, "1月" int, "2月" int);
-- UNPIVOTは UNION ALL で対応
SELECT 商品, '1月' AS 月, 売上1月 AS 売上 FROM sales_pivot
UNION ALL
SELECT 商品, '2月', 売上2月 FROM sales_pivot;

 


4. MySQL

MySQLには PIVOT 句はなく、CASE式 + GROUP BY を使う。

-- PIVOT
SELECT
  商品,
  SUM(CASE WHEN 月 = '1月' THEN 売上 END) AS 売上1月,
  SUM(CASE WHEN 月 = '2月' THEN 売上 END) AS 売上2月
FROM Sales
GROUP BY 商品;
UNPIVOTも標準構文がないので、PostgreSQL同様 UNION ALL を用いる。
-- UNPIVOT (UNION ALL)
SELECT 商品, '1月' AS 月, 売上1月 AS 売上 FROM sales_pivot
UNION ALL
SELECT 商品, '2月', 売上2月 FROM sales_pivot;

 


DBMS比較表

DBMSPIVOT対応UNPIVOT対応代替手段
SQL Serverネイティブネイティブそのまま使用可
Oracleネイティブネイティブそのまま使用可
PostgreSQLなしなしcrosstab関数 / UNION ALL
MySQLなしなしCASE式 + GROUP BY / UNION ALL

 

まとめ

  • SQL Server / Oracle → PIVOT/UNPIVOTがシンプルに使える。

  • PostgreSQL / MySQL → 標準ではなく、関数やCASE式で工夫が必要。

「集計を横に展開したい」あるいは「フラットに戻したい」とき、
DBMSに応じた方法を覚えておくと、データ整形がぐっと楽になります。

DENSE_RANKとRANKの違いを使い分けるランキング便利技

SQLでデータに順位を付けたいとき、よく使われるのが RANKDENSE_RANK です。
どちらもウィンドウ関数として利用でき、同点がある場合にどう順位を振るかが異なります。

「売上ランキングを作りたい」「部門ごとのTOP3を出したい」といった実務シーンでは、両者の違いを理解していないと期待通りの結果にならないことがあります。

本記事では、RANKとDENSE_RANKの基本的な違い を解説したうえで、実務での使い分け方、さらに DBMSごとのサポート状況 までわかりやすく紹介します。


RANKとは?

RANK は、同点がある場合に同じ順位を付けますが、その分次の順位が飛びます。

例:テストの点数ランキング

SELECT
  name,
  score,
  RANK() OVER (ORDER BY score DESC) AS rank
FROM
  students;
名前点数RANK
Aさん1001
Bさん952
Cさん952
Dさん904
 

👉 2位が2人いるため、次の順位は「4位」となります。


DENSE_RANKとは?

DENSE_RANK は、同点の場合も同じ順位を付けますが、次の順位は飛ばさずに連続します。

SELECT
  name,
  score,
  DENSE_RANK() OVER (ORDER BY score DESC) AS dense_rank
FROM
  students;

名前点数DENSE_RANK
Aさん1001
Bさん952
Cさん952
Dさん903

 

👉 2位が2人いても、次の順位は「3位」となります。


実務での便利な活用例

1. 売上ランキングを作る

売上データから各商品の順位を求めたいときは DENSE_RANK が便利です。

SELECT
  product_id,
  SUM(sales_amount) AS total_sales,
  DENSE_RANK() OVER (
    ORDER BY SUM(sales_amount) DESC
  ) AS sales_rank
FROM
  sales
GROUP BY
  product_id;
👉 同順位の商品があっても「順位が飛ばない」ので、一覧が見やすくなります。

2. 部門別ランキングを作る

「部門ごとにランキングを出したい」場合は、PARTITION BY を組み合わせます。

SELECT
  department,
  employee_name,
  sales_amount,
  RANK() OVER (
    PARTITION BY department
    ORDER BY sales_amount DESC
  ) AS rank_in_dept
FROM
  employee_sales;
👉 部門ごとに順位がリセットされ、それぞれの中でランキングが作成されます。

3. TOP Nの商品を抽出する

「売上TOP3の商品を取得したい」といった場合は注意が必要です。

WITH ranked AS (
  SELECT
    product_id,
    SUM(sales_amount) AS total_sales,
    RANK() OVER (
      ORDER BY SUM(sales_amount) DESC
    ) AS rank
  FROM
    sales
  GROUP BY
    product_id
)
SELECT
  *
FROM
  ranked
WHERE
  rank <= 3;  -- ここを任意のNに変更
👉 RANK を使うと、3位が同点の場合に4件以上取得されることがあります。

DENSE_RANK なら「必ず3位まで」に限定できるため安全です。


DBMSごとの違い

Oracle Database

  • RANK / DENSE_RANK ともに早期からサポート

  • 標準SQLに準拠し、安定して利用可能

PostgreSQL

  • バージョン8.4以降でサポート

  • 標準SQL準拠のため、OracleやSQL Serverとほぼ同じ書き方で利用できる

MySQL

  • MySQL 8.0 以降で利用可能

  • それ以前(5.x系など)では未対応で、ユーザー変数を使った代替実装が必要

SQL Server (Microsoft)

  • 2005以降でサポート

  • 標準SQLと同じ感覚で利用可能

👉 まとめると:

  • Oracle / PostgreSQL / SQL Server → そのまま使える

  • MySQL 8.0以降 → 標準対応

  • MySQL 5.x以前 → 対応なし(代替実装が必要)


まとめ

  • RANK → 同順位があると次の順位が飛ぶ(例:1,2,2,4)

  • DENSE_RANK → 順位が連続(例:1,2,2,3)

  • 実務での使い分け:

    • 売上ランキング → DENSE_RANK

    • 部門別の表彰や順位 → RANK

    • TOP N抽出 → DENSE_RANK が安全

  • DBMSによってサポート状況が異なるため、特にMySQLはバージョンを確認することが重要

SQLでのランキング処理はシーンによって適切に関数を選ぶのがコツです。